イラン情勢の懸念がハイテク・半導体関連株の選好につながる構図が続く

5月11日の米国株式市場は、米国とイランの戦闘終結に向けた目立った進展がない状態が続いている中でリスク選好は強い状況となっており、半導体関連株を中心に株価が堅調だった。原油価格や金利が高止まりしているため、米経済の先行きについて楽観視できる状況ではない。その結果として、ハイテク関連株や半導体関連株が選好されているという構図は理解しやすい相場と言える。今後、イラン情勢が改善して米経済全体にも楽観的な見方が増えれば、株式市場はさらに強気化するという期待もあるだろう。もっとも、物色が広がる過程でハイテク関連株・半導体関連株への資金集中が巻き戻されるリスクもありそうである。すなわち、イラン情勢の改善というテーマがハイテク関連株や半導体関連株からの資金流出のきっかけとなり、実体経済にはポジティブな動きであっても、株式市場全体ではマイナス影響が目立つことになる可能性も考えるべきだろう。

原油高がインフレ懸念を強めた

5月11日の米国債券市場は、原油価格が上昇する中でインフレ予想が引き上がり、金利が上昇した。長期金利は前日差+5.9bp、2年金利は同+6.9bpだった。トランプ大統領が米国の戦闘終結に向けた提案に対するイラン側の回答を「全く受け入れられない」(BBC)とし、ホルムズ海峡の封鎖が長期化する可能性が意識された。WTI原油先物価格は続伸して98.07ドルとなった。債券市場では、10年実質金利が前日差+3.6bp、10年インフレ予想(BEI)が同+2.3bpとなった。

原油高だけではなく、株高がインフレ懸念・金利上昇のリスク

市場におけるインフレ懸念とFRBの対応の見方を整理すると、①ホルムズ海峡の封鎖長期化懸念によってインフレ懸念が高まる中、②株式市場の強さも相まって長期のインフレ懸念が押し上げられている一方、③FRBは利下げには慎重だが利上げにも慎重な姿勢を示しているため、④インフレ懸念が高まる場合に歯止めがかかりにくい、という状況である。実際に、10年BEIはイラン情勢が大きく悪化していた3月は2.3~2.4%程度の推移だったのに対して、現在は2.48%となっている。①ホルムズ海峡の封鎖長期化と②リスクオンによる景気上振れの可能性といった材料が長期のインフレ予想を押し上げているのだろう。今後もこの流れが続くと、10年BEIの上昇とともにFRBから利上げの可能性を示唆する発言が出てくる可能性がある。それが急ピッチで上昇してきた株式市場の調整のきっかけになる可能性があるだろう。それでも株式市場が強含めば、実際にFRBが利上げを実施する可能性を市場は織り込んでいくことになりそうである。当初の債券市場はイラン情勢の悪化や原油高に対して大きく反応せず、それがFRBにとっての安心材料となっていた。株式市場の強気化が債券市場の安定を崩している状況と言え、株価の動向が債券市場にとっても重要になっている。