ゴールドマン・サックスとバンク・オブ・アメリカ(BofA)が次回の米利下げ時期の予想を後ろ倒しした。雇用とインフレのデータを根拠に、連邦準備制度が少なくとも年末まで金利を据え置くとみている。

イラン戦争が原油市場を揺さぶりインフレをあおる中、トレーダーは米金融当局が2026年を通じて政策金利を据え置き、27年初めに利上げする可能性さえあるという見方を強めている。こうした変化は米金融当局者の間にも広がりつつあり、前回の連邦公開市場委員会(FOMC)会合の声明に異議を唱えたメンバーのうちの2人を含め、次の一手は利上げとなる可能性があるとの発言が相次いでいる。

BofAの米国経済責任者アディティア・バーベ氏は8日、「年内の利下げを正当化するデータは全くない。コアインフレ率は高過ぎる水準にあり、しかも上昇している。米金融当局者の発言がタカ派寄りであることも踏まえると、4月の堅調な雇用統計が決定打となった」と述べた。バーベ氏らは現在、次の利下げ時期を、これまで予想していた今年9月から27年7月へと後ろ倒ししている。

米国債は11日、原油高を受けて下落(利回りは上昇)した。金融政策に敏感な2年債利回りは6ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)余り上昇し、米東部時間午後3時半(日本時間12日午前4時半)現在、3.95%を付けた。トランプ米大統領は同日、米国とイランの間の停戦は不安定で「大きな生命維持装置」につながれているかのような状態だと述べた。

米国債利回りは、四半期定例入札の初回となった580億ドル(約9兆1400億円)規模の3年債入札で投資家需要が予想を下回った後、上昇幅を広げた。ブルームバーグのドル指数は小幅高となり、米国株も上昇した。

米財務省の四半期定例入札では、12日に420億ドル相当の10年債、13日には250億ドル相当の30年債の入札が行われる。

4月の米雇用統計では、雇用者数が2カ月連続で市場予想を上回る伸びとなった。中東紛争が続く中でも米労働市場の底堅さが示された。次の主要なインフレ指標は、12日発表の4月の消費者物価指数(CPI)と13日発表の同月生産者物価指数(PPI)だ。

BofAの金利ストラテジストらは11日、利上げリスクに対するトレーダーの織り込みが「不十分」と顧客向けリポートで指摘した。2年国債の売りを推奨し、短期国債が長期国債をアンダーパフォームするとみている。

8日の米雇用統計発表を受け、ヤン・ハッチウス氏率いるゴールドマンのチームも、次回利下げ予想を今年9月から12月へと後ろ倒しした。今後12カ月でリセッション(景気後退)入りする確率の予想も引き下げた。

モルガン・スタンレーとバークレイズも、金利据え置きが長引くと予想している。

ブルームバーグのマクロストラテジスト、サイモン・ホワイト氏は、「インフレ率が上昇することは誰もが分かっている。ただ、実際にそうなれば、今後数カ月の論点は必然的に次のような疑問に移る。インフレはどれほど長く高止まりするか、二次的影響は出るか、利上げがあるならどの程度となるか、という点だ」と指摘した。

とはいえ、米銀の一部では年内利下げ予想を維持する向きもある。特にシティグループのエコノミスト、アンドリュー・ホレンホースト、ベロニカ・クラーク、ギセラ・ヤングの各氏は、ここ数カ月の雇用と賃金の伸びが低調なことを踏まえ、市場の利下げ織り込みは十分ではないと述べている。

12日のCPI発表を控え、ブルームバーグ調査のエコノミスト予想中央値では、総合指数は前年同月比3.7%上昇と、前月の3.3%上昇から伸びが加速する見通しだ。食品とエネルギーを除くコア指数は同2.7%上昇が見込まれている。

モルガン・スタンレーのグローバルマクロ戦略責任者マシュー・ホーンバック氏は11日、ブルームバーグの番組「サーベイランス」で「今月発表されるインフレ統計は、間違いなくやや強めの内容になるだろう。原油価格が日々大きく変動しているのは明らかであり、年末に向けたインフレ経路に大きく影響する可能性がある」と指摘した。

原題:Goldman, BofA Push Back Fed Calls as Treasuries Fall (2)(抜粋)

--取材協力:Jonathan Ferro、Lisa Abramowicz.

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