(ブルームバーグ):サウジアラビア国営石油会社サウジアラムコのアミン・ナセル最高経営責任者(CEO)は、ホルムズ海峡の封鎖で世界の石油市場は毎週1億バレルの供給を失っていると指摘した。中東戦争が既に過去最大級の供給混乱を引き起こしている中で、供給不足がさらに深刻化していると警告した。
ナセル氏はアナリストとの電話会議で、供給不足を企業や政府が備蓄の取り崩しで補っているが、世界の在庫は危険な水準まで低下しているとの認識を示した。世界の余剰生産能力の大半はペルシャ湾に集中しており、不足解消に活用できない状況だとした。
投資銀行アナリストの評価ともおおむね一致する同氏の見方は、中東紛争が3カ月目に入る中、エネルギー価格高騰による世界経済成長の押し下げリスクが高まっていることを浮き彫りにしている。
同氏は「供給の混乱がさらに数週間続くだけでも、石油市場の需給バランスが回復し安定するまでの時間はさらに長くなる」と述べ、「正常化は2027年にずれ込む可能性がある」と警告した。
イランや米国による海峡周辺の封鎖が解消される見通しは立っておらず、原油価格は11日、1バレル=100ドルを上回って推移した。同氏は、在庫取り崩しが可能なことで実際の需給の逼迫(ひっぱく)が覆い隠されていると指摘し、先物市場の価格と現物価格の間に乖離(かいり)があるとの見方を示した。
また、中東以外での生産への投資不足により、市場は今回のような供給ショックに十分対応できていないとも述べた。供給不足は5月と6月に一段と顕在化すると警告した。
ホルムズ海峡が再開された場合でも、タンカーが積み込み地点に移動し、生産者が増産体制を整えるまでには時間を要し、市場回復は遅れる見通しと指摘。湾岸諸国の一部生産者は停止した油井の全面再稼働に3-6カ月を要する可能性がある一方、アラムコはそれより短期間で対応可能だとした。
同氏は「当社の最大生産能力は損なわれておらず、政府の要請があれば割当量に応じて3週間未満で増産できる」と述べた。ブルームバーグ集計によると、アラムコの持続可能な最大生産能力は日量1200万バレルで、戦争前は約1000万バレルを生産していたが、3月と4月には約740万バレルまで減少した。
原題:Aramco Sees Hormuz Halt Causing 100 Million-Barrel Oil Loss (1)(抜粋)
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