イラン戦争の影響でガソリン価格が高騰し、世界各地で電気自動車(EV)の需要が急増している。EV不毛の地とも言われてきた日本でも、自動車メーカー各社のラインアップ拡大もあり販売台数が伸びた。

国内の乗用EVの4月販売は前年同月比2.6倍の7545台だった。日本自動車販売協会連合会と全国軽自動車協会連合会がそれぞれ11日に発表した新車販売台数をブルームバーグが集計した。

中国と欧米を中心にEVシフトが近年急速に進む一方、日本では充電インフラの整備不足や車両価格の高さもあって普及が遅れてきた。近年は日本車メーカーもラインアップを拡充しており、販売台数は依然として少ないものの、変化の兆しが出てきた格好だ。

登録車では日産自動車が2062台で、トヨタ自動車が1957台だった。日産は3月からEV「リーフ」のエントリーモデルとして設定したB5グレードの納車を開始。トヨタは新型EV「bZ4X Touring(ツーリング)」を2月25日に発売した。25年4月時点では、軽自動車を除くとEV販売のほとんどを輸入車が占めていた。

輸入車は前年同月比1.6倍の2761台だった。日本自動車輸入組合が同日公表したデータによると、ブランド別台数で米テスラが大半を占めるとみられる「Others(その他)」の乗用車販売は同3倍の1041台だった。

日産のエンブレム

新型車投入に加え、EV販売に今後追い風となりそうなのが、イラン戦争に伴うエネルギー危機だ。ガソリン価格の上昇が世界各国でEV販売の拡大を後押ししている。中国のEV・ハイブリッド車の3月輸出は前年同月比で2倍超増加し、過去最高を記録した。

日本では政府が激変緩和措置としてガソリン価格を抑制するため補助金を支給しており、急いでEVに乗り換えた事例は限定的とみられる。ただ、石油輸送の要衝ホルムズ海峡が事実上封鎖された状態が続く中、政府が巨額の補助金支給をいつまで続けられるかには不透明感も残る。

政府は既存基金の残りと2025年度の予備費を合わせ約1兆1500億円を財源として確保しているが、野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは補助金の予算は6月にも枯渇すると試算する。

木内氏は4月のコラムで、枯渇しても新たに予算を確保することで「補助金制度を当面維持する可能性は高いだろう」との見方を示した。ただ、財政負担の軽減やガソリン消費の節約を促すため、いずれ補助金を縮小させることは考えられ、そうなれば「ガソリン価格の緩やかな上昇をもたらすだろう」という。

経済産業省によると、直近のガソリンの全国平均価格は1リットル当たり169.7円だったが、補助金がなければ200.6円と歴史的に見ても高水準となっていた。補助がなくなった場合、EVに乗り換えるインセンティブが働く可能性が高い。

(輸入車の販売を追加して更新します)

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