トランプ米大統領と中国の習近平国家主席は14-15日に首脳会談を行う。投資家は、米中の緊張緩和のさらなる兆候を見極めようとしている。中国株式相場の上値を抑える要因を取り除けるか、地政学や貿易問題が焦点となる。

米中間で具体的な合意に至る可能性はなお低いとみられているものの、両首脳の会談が貿易摩擦の緩和につながるかもしれないとアナリストは指摘する。こうした改善に加え、米国による対中ハイテク輸出規制が緩和されれば、中国の輸出企業やハードウエアメーカーを後押しする要因となり得る。

首脳会談が成功すれば、中国株に追加的な追い風となる可能性がある。イラン戦争を巡る懸念後退でアジア市場全般が先月に上昇したにもかかわらず、中国株は他のアジア株に出遅れている。ドル安を背景に人民元高への期待も高まりつつある。一方、構造的な対立が浮き彫りになれば、中国株の変動性が再び高まることもあり得る。

インベスコでアジア太平洋(日本を除く)のクライアント・ソリューションズ責任者を務めるクリストファー・ハミルトン氏は、「今回の首脳会談が米中関係にある程度の確実性をもたらし、リスクプレミアムを低下させることができれば、それは最終的に中国株にとって非常にポジティブだ」と話す。

市場参加者が会談を前に注目している主な分野は以下の通り。

関税

マッコーリー・グループによると、関税は大幅な引き上げなく現状維持が基本シナリオとみられる。JPモルガン・チェースの試算では、現在の対中関税は実効税率で約22%。継続中の調査対象となっており、中国側はこうした調査を摩擦の要因として指摘している。

マッコーリーの中国株戦略責任者ユージン・シャオ氏は、一段の緊張が回避されれば「既存の関税が上値を抑える状況は続くものの、エスカレーションリスクの低下とサプライチェーンを巡る確実性向上により、中国の輸出企業全体の見通しはわずかながら改善する」と語る。

エネルギー安全保障やハイテクのグローバルサプライチェーンに関わる企業は適用除外を受ける可能性が高い一方、米売上高への依存度が高いバイオテクノロジー企業にとっては、関税引き上げが特に厳しいものとなる見通しだ。

中東情勢

イラン戦争は米中関係の緊張をさらに強めている。イランへの圧力を強める米国の取り組みは、イランにとって最大の貿易相手国であり、主要な原油購入国でもある中国に影響を及ぼしている。米国はイラン産原油を精製する中国の業者にも制裁を科している。

トランプ大統領は習氏との会談でイラン戦争について協議する意向を示している。この分野で緊張緩和のシグナルが出れば、リスクセンチメントの改善につながる可能性がある。アナリストは、米中首脳会談が株式相場で大きな変動をもたらすことが多かったと指摘する。

JPモルガンの中国担当チーフエコノミスト、フォン・ジュー氏らは8日のリポートで、「中国経済は短期的には底堅いものの、中東紛争の早期解決やホルムズ海峡の再開、その他の潜在的な要衝の安定化を巡り、米中双方に強い利害がある」と分析した。

ハイテク規制

半導体技術を巡る緊張は会談を前に一段と高まっており、米当局は華虹半導体への特定の装置出荷を停止するよう命じたと報じられている。一方、中国政府は先端技術を国内にとどめるため、メタ・プラットフォームズによるAIスタートアップのマナス買収計画の阻止に動いた。

ジェフリーズ・ファイナンシャル・グループのエディソン・リー氏らアナリストは、米国が14ナノメートルや7ナノといった半導体向け装置の輸出を認めるなど、規制を一定程度緩和したり、華虹半導体や上海華力微電子といった特定企業に非公式の適用除外を認めたりする可能性があると指摘。これは中国企業にとって追い風となる。

もっとも、人工知能(AI)分野での主導権争いが続く中、休戦に対して慎重な見方もある。それでも、中国政府が外国技術への依存低減を進めており、国内半導体メーカーには引き続き資金流入が見込まれる。

レアアース

レアアースも主要な議題となる見込みで、トランプ大統領は世界供給の70%以上を占める中国からの確保を目指している。昨年10月下旬以降、米中の政策は不安定ながらも緊張緩和の方向にあり、習主席はレアアースの輸出規制を一時停止する一方、トランプ氏は中国による米国の重要技術へのアクセス制限を先送りしている。

ゴールドマン・サックス・グループのアンドリュー・ティルトン氏らエコノミストは、首脳会談に関して「関税のほか、中国による米大豆やエネルギー、航空機などの購入、レアアースの安定供給といった貿易ならびに輸出規制に議題が絞られる可能性が高い」と指摘した。

農産物購入

助言会社テネオのマネジングディレクター、ガブリエル・ウィルドー氏は「安定性を示唆するだけでなく、中国政府が大豆やその他農産品、石油・ガス、民間航空機など米国からの輸入拡大に関する新たなコミットメントを示すかもしれない」と語る。

また、中国は米国から豚肉や牛肉、鶏肉の輸入を増やす可能性もあり、すでに価格下落で圧迫されている国内養豚業に影響を及ぼす恐れがある。

原題:Stock Trader’s Guide to Navigating High Stakes Trump-Xi Talks(抜粋)

--取材協力:Lucille Liu、Iris Ouyang.

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