(ブルームバーグ):中東情勢の緊迫化に伴うガソリン価格の急騰を受け、米国の小売りや外食、日用品メーカーの経営陣の間で、消費者が支出を抑えることへの懸念が強まっている。
食品大手クラフト・ハインツのスティーブ・カヒレーン最高経営責任者(CEO)は今週のインタビューで「消費者は月末になると、文字通り手元資金が尽きている」と指摘。「低所得層では支出が収入を上回り、貯蓄を取り崩している状況が見られる」と述べた。

米国では新型コロナウイルス禍以降、高インフレ下でも個人消費が予想以上の粘り強さを維持し、リセッション(景気後退)懸念を抑えつつ経済成長を支えてきた。ただ、燃料価格の上昇は消費者にとって耐え難い重荷となる可能性がある。
家電大手ワールプールのマーク・ビッツァーCEOは7日のアナリスト向け説明会で、「イランでの戦争が、家計を巡る消費者の懸念を一段と強めた」と述べた。
洗濯機や乾燥機などを手がける同社は、厳しい冬の影響で鈍った需要がその後持ち直すと見込んでいたが、戦争によって消費者心理が急激に悪化したとしている。その結果として生じた市場全体の需要の15%減少について、2000年代の世界金融危機に匹敵するとの見方を示した。
ファストフード業界では、マクドナルドのクリス・ケンプチンスキーCEOが、消費者マインドは改善しておらず、むしろ悪化している可能性があると述べた。同氏は7日のアナリスト向け電話会議で、消費者の間で「不安が高まっている」と指摘し、その背景として、低所得層により大きな影響を与えるガソリン価格の上昇を挙げた。
ファストフード以外のレストラン業態も打撃を受けている。ダイン・ブランズ・グローバルのジョン・ペイトンCEOは今週の決算説明会で、「価格に敏感で割安志向の強い顧客は、外食を控えて自宅にとどまる傾向がやや強まっている」と述べた。
眼鏡小売りのワービー・パーカーは、学生ローンの返済負担などを背景に、若年層が家計の圧迫を感じているとした。

米自動車協会(AAA)によると、レギュラー無鉛ガソリンの小売価格(全米平均)は現在、1ガロン当たり4.56ドルと、2022年7月以来の高水準にある。
消費者は収入のより多くを燃料費に充てざるを得ないため、外食などの裁量的支出に回せる資金が減っている。税還付の増加がガソリン高の影響の一部を和らげたものの、消費者心理は過去最低水準まで悪化している。
米国民は支出増に対応するため、貯蓄に回す余裕が減っており、貯蓄率は3月に過去3年で最低水準に低下した。エコノミストは、イランでの戦争による混乱が食料品を含む幅広い商品の価格上昇につながる可能性があると警告している。

コメリカ銀行のチーフエコノミスト、ビル・アダムズ氏は、短期的には消費者は貯蓄を取り崩したりクレジットカードを利用したりして対応できるものの、ガソリン価格の高止まりが長引くほど、家計の収支を合わせるために消費行動を一段と見直すようになると指摘した。

フィットネスクラブ運営のプラネット・フィットネスの株価は7日、通期業績見通しの下方修正を受けて過去最大の下げとなった。通常は需要が高まる年初の時期に、会員の新規登録が想定を下回ったとしている。
同社はまた、最上位プランの値上げの全米展開を見送ったことも明らかにした。その理由について、コリーン・キーティングCEOは「消費者と経済を取り巻く環境が変化したからだ」と語った。
原題:Consumers Are ‘Running Out of Money’ and Cutting Back, CEOs Warn(抜粋)
--取材協力:Reade Pickert、Mark Niquette.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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