発達障がいグレーゾーンの方々に特徴的なのが、生きづらさや困りごとを抱えていても、それを他人と共有したり、自身から支援を求めることが難しいことである。周囲の者からみても、一見、困っているようには見えないため、放置されがちなのである。

何らかの偏りを感じている当事者にとって、まず自身の傾向を客観的に知ることは重要であるため、オンライン上の自己診断ツールを用いて自己理解に努めること自体は有益といえる。ただし、その結果を免罪符として用いるのではなく、自身の特性を踏まえた事前の対策(予防策)を講じることや、強み・弱みを含めた特性を周囲に伝え、協力が得られる点について調整を図るなど、次の行動につなげていくことが重要である。

また、周囲の人は、発達特性に起因するミスや失敗を一方的に責めるのではなく、個々の特性の理解に努めることが重要である。そのうえで、小さな成功体験を積み重ねられるよう、学習や研鑽の機会を提供するなど、環境面での調整を図ることが大事になる。なお、受診や診断を本人の意思に反して強要することがあってはならない。

重要なのは、「診断の有無」や「ラベル」そのものではなく、個々の困難がどのように生じ、どのような支援や工夫によって軽減できるのかという視点である。「ファッション発達障がい」という言葉だけが独り歩きするのではなく、当事者への理解を深め、互いに関わり方を模索する姿勢が大切なのである。

(※情報提供、記事執筆:ニッセイ基礎研究所 生活研究部 研究員・ジェロントロジー推進室・ヘルスケアリサーチセンター 兼任 乾 愛)