フィッチ・レーティングスは、米国の財政赤字拡大により債務負担が同じダブルA格付けの他国を「大きく上回っている」とし、同国の信用格付けが課題に直面していると警告した。

リチャード・フランシス氏を含むフィッチのチームは4月30日のリポートで、関税収入による一定の相殺効果はあるものの、「一つの大きく美しい法案(OBBBA)」成立による減税の影響で、今年の米財政状況は悪化する可能性が高いと指摘した。これにより11月の連邦議会中間選挙の重要性が強まるとしている。

「中間選挙で民主党が上下両院のいずれか、または双方で過半数を獲得すれば、行政府の権限に対する追加的な抑制と均衡をもたらす可能性がある」と予想。「だが、ねじれ議会は財政パッケージの交渉を一層困難にし、債務上限を巡る問題を含め、瀬戸際戦略のリスクを高める可能性がある」とした。フィッチは債務上限が2027年後半に到達すると見込んでいる。

フィッチは23年8月、債務上限を巡る政治的対立がデフォルト(債務不履行)の瀬戸際まで事態を悪化させたことへの懸念を理由に、米国の格付けを1段階引き下げ「AA+」とした。同リポートでは、現在の安定的な格付けについて「特に財政政策決定における長期的なガバナンスの悪化をすでに織り込んでいる」とした。

フィッチは、一般財政赤字が今年と来年に国内総生産(GDP)の7.9%に達すると見込む一方、関税収入の不確実性やトランプ米大統領による国防支出増額要請にも言及。連邦最高裁が国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく関税を無効としたことを受け、フィッチは26年の関税収入見通し(還付控除後)を1500億ドルに引き下げた。

一方で、ドルが世界の基軸通貨としての役割を担っている点や、大規模で活力のある経済、資本市場の厚みと流動性の高さが米国の信用力の強みだとした。

主要格付け会社3社はいずれも、米国の格付けを最上位のトリプルAから1段階下の水準に据え、見通しは安定的としている。25年5月にはムーディーズが米国の信用格付けを「Aaa」から「Aa1」へ引き下げており、フィッチおよびS&Pグローバル・レーティングと並び、米国をトリプルAと評価しない立場を取った。

原題:Fitch Warns US Debt Burden Is ‘Far Above’ Other AA Rated Nations(抜粋)

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