(ブルームバーグ):1日の日本市場では円が対ドルで157円台前半に反落。日本の通貨当局が前日に為替介入を実施したことで一時155円台半ばまで急騰後、円買いの勢いは一服している。市場では介入が続くことへの警戒感がある半面、原油価格の高止まりなどを受けた円売り圧力も根強い。
株式市場では金融や資源セクター中心に売りが出て、東証株価指数(TOPIX)は軟調な動きとなっている。米国金利が低下した流れもあり、債券は上昇(金利は低下)。
事情に詳しい関係者によると、政府・日本銀行は4月30日に為替市場で円買い介入を実施した。三村淳財務官は1日、省内で記者団に対し介入の可能性について「コメントするつもりはない」と述べた。為替政策に関して米国とは極めて緊密に連絡をとっているとしたほか、「大型連休はまだ序盤」だとし、さらなる対応の可能性も示唆した。
4月30日の円相場はドルに対し一時3%上昇し、日中上昇率ほぼ2年ぶりの大きさを記録した。急伸前には日米金利差が縮まらないことへの警戒で一時160円72銭と2024年7月以来の安値を付けていた。
三井住友銀行の鈴木浩史チーフ・為替ストラテジストは「当局の円買い・ドル売り介入後は一時的にドルが戻す時間帯があり、今がそうだ」と指摘。市場ではドルの下値からの半値戻しが意識され、158円くらいまで戻す展開を想定するが、そこからはドルの上値が重くなるとの見方を示す。
アジア時間1日の米原油先物は1バレル=105ドル台と上昇の勢いが一服。ただ、トランプ米大統領はイランの港湾に対する海上封鎖を維持する方針を示しており、ホルムズ海峡封鎖の長期化による景気減速やインフレへの懸念は依然くすぶっている。
為替
円は対ドルで157円台前半で推移。オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)外国為替・コモディティ営業部の町田広之ディレクターは、本来は162円前後での実施が想定されていた介入について、160円手前で円買いの動きが強まった点が「サプライズ」と受け止められていると指摘した。
また、三井住友信託銀行ニューヨークグローバルマーケッツ部の山本威調査役は「2024年も大型連休中に2回目の介入があったので、警戒感からドルの上値が抑制される」と話す。もっとも、原油価格の上昇や日銀の政策が後手に回るビハインド・ザ・カーブ観測など「ファンダメンタルズ要因がこれまでの円安の背景にあり、長期的な円高トレンドに転換したとみるのは時期尚早」と言う。
株式
株式相場はTOPIXが軟調。為替介入への警戒感や連休前の持ち高調整売りが重しになっている。銀行など金融セクターや商社、自動車などに売りが先行。半面、好決算を受けて大幅高となった東京エレクトロンなどがけん引し、日経平均は反発している。
しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹シニアファンドマネジャーは、当局の介入を受け「為替の変動性が高まっているほか、イラン情勢の不透明感もある。大型連休と来週以降の決算本格化を前にポジションを軽くしたい投資家が多いだろう」と指摘。金融株の弱さについては、円安基調が修正されれば日銀の利上げ観測がやや弱まるとの思惑があるとの認識を示した。
一方、三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩チーフマーケットストラテジストは、急激な為替の動きは株式相場にネガティブだが、足元の水準は企業が想定する為替レートより円安水準であり、すぐに企業業績に対する影響への懸念が高まる局面ではないと話す。
債券
債券は上昇。原油高騰の一服や米長期金利の低下に加え、為替相場の円急伸が支援材料になっている。
東海東京証券の佐野一彦チーフ債券ストラテジストは「政府が円安に強い警戒感を示したことにより、日銀は6月に利上げしやすくなる」と指摘。前日は日銀のビハインド・ザ・カーブに対する懸念から超長期債が大きく売られたが、「そうした懸念も和らぐ」と指摘した。
この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。
--取材協力:日向貴彦.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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