ブルームバーグは、世界の金融に携わる女性リーダーの視点や意思決定、対話に関するニュースレター「Women, Money & Power Report」を毎月配信しています。最新号では4月23日に片山さつき財務相を招いて東京都内で開催された「New Voices」イベントを題材にお伝えします。

首相と財務相という一国の主要ポストの両方を女性が担うケースは珍しい。よく知られる例では、2019年に34歳で首相に選出されたサンナ・マリン氏が女性主導内閣を発足させたフィンランドがある。オーストラリアやエストニア、ホンジュラスにも注目すべき例はあるが、強力な2つのポストを同時に女性が占めた国は多くない。主要7カ国(G7)でも例がなく、日本が初めてだ。

もっとも、女性リーダーにお決まりのイメージがあるとすれば、日本の高市早苗首相と片山さつき財務相はその枠には収まらない。昨年10月に就任した高市首相(65)は自民党総裁で、家族やジェンダーに関して伝統的な価値観を持つ(同性婚の合法化や夫婦別姓に反対)。

高市氏はまた、第二次大戦後に平和主義が続いた日本の軍備再建を支持し、国際政治でより大きな役割を果たすべきだと主張している(内閣は1940年代以降初となる殺傷能力のある武器の輸出を事実上可能とした)。さらに、補助金や投資による成長刺激を掲げている。

    Sanae Takaichi, Japan’s prime minister, left, and finance minister Satsuki Katayama.
高市早苗首相(左)と片山さつき財務相

片山財務相(66)は堅実なリーダーシップを迅速に発揮している。過去最大となる122兆円の当初予算を成立させたほか、米アンソロピックの人工知能(AI)モデル「Mythos(ミュトス)」で浮き彫りになったサイバーセキュリティーリスクを協議するため、国内大手銀行を緊急招集した。また、下落傾向が続く円を支えるための介入に踏み切る用意があることを明確にしている。

日本が原油輸入の9割を依存する中東の混乱は、両氏の政策運営を複雑にしている。片山氏は4月23日に都内で開催されたブルームバーグのイベント「New Voices」で、イランでの戦争勃発自体も予想外だったが、その後に起きた原油先物市場での投機の規模こそが政府にとって想定外だったと述べた。

こうした動きは円相場に影響し、インフレ見通しを押し上げ、政府が燃料価格で補助金導入に踏み切る要因となった。

片山氏は、円相場が1ドル=160円前後(=過去に介入が実施された水準)で推移する中、自身と副大臣らが米当局と定期的に連絡を取り合っており、行動する用意があると述べた。発言は英語で行った。

介入については「われわれにフリーハンドがある」と、ブルームバーグテレビジョンのシェリー・アンとのインタビューで語り、「誰もがあらゆる可能性を想像できる。われわれは非常に強い姿勢で臨んでいる」と述べた。

片山さつき財務相は、都内で開催されたブルームバーグのイベントに登壇し、為替市場の動向について日米間で緊密に連絡を取り合っていると述べた。過去の為替介入の効果を強調するとともに、あらゆる対応の可能性を示唆した。

同時に片山氏は、日本経済は依然として堅調であり、海外投資家は日本への投資に意欲的だと述べた。「巨大ファンドやメガ銀行の関係者が非常に多く日本を訪れている。決して大げさに言っているのではない」

民間・公的資金の双方が、人工知能(AI)から半導体、造船、バイオテクノロジー、製薬、防衛に至るまで、幅広い産業への投資に注力している。そうした中で、日本国債も購入されているとし、片山氏は「日本市場は非常に堅調だ」とも発言した。

このイベントには、元日本銀行審議委員の白井さゆり慶応義塾大学教授も登壇。日本初の女性首相としての高市氏と女性初の財務相としての片山氏の登場は意義深い変化であり、新旧両世代の日本人女性に希望を与えるものだが、新しい指導者なら誰もがそうであるように、自らの実力を証明する必要があると発言した。

例えば、公約とした経済成長の促進と個人消費の支援、防衛費の増額のための資金を政府がどう調達するかは不透明だとした上で、両リーダーらが「どのように実現し、国民にどう説明していくのかを見守る必要がある」と語った。

    Sayuri Shirai, professor of economic at Keio University, speaks during a Bloomberg New Voices event at the National Museum of Modern Art in Tokyo, Japan, on Thursday, April 23, 2026. The event is a global initiative to increase the visibility of women and other underrepresented executives in business and finance across media platforms. Photographer: Akio Kon/Bloomberg
白井さゆり氏

片山氏は、自らの歴史的な立場や模範としての役割を自覚している。日本の男性優位の権力構造の中でキャリアを積み上げ、ベッセント米財務長官と定期的な協議を持つに至った。ブラックストーン・グループのスティーブ・シュワルツマン最高経営責任者(CEO)らとも会談し、イラン戦争終結を巡る最良・最悪のシナリオについて各国・地域の財務相らと議論している。

イベントの聴衆は主に、金融業界で働く女性のプロだったが、彼女らに対して片山氏はあるメッセージを送った。

自らは英語圏で生活したことがないものの、英語のインタビューに英語で応じていることを引き合いに出し、語学力に関わらず、自らの意見を発信し、共有する意志を持つことが重要だと強調。「これはスピリット(気持ち・姿勢)の問題だ」とも述べた。

原題:The Leaders Running Japan: Women, Money & Power(抜粋)

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