爆発的に利用者を増やしている予測市場で、副収入を得られるという話が、ソーシャルメディアで拡散されている。しかし現実は甘くない。実際には負けて損をするケースが極めて多い。

ブルームバーグ・ニュースの分析によれば、業界最大手ポリマーケットに2025年以降に登録された全ウォレットのうち、1000ドル(約16万円)以上の損失を出したウォレットが10万を超え、利益を上げた数の約2倍だった。

データ会社デューンがまとめた取引記録によれば、ポリマーケットで利益を上げたのはほんの少数で、その大半は自動化されたボットとみられる。それ以外のユーザーは合計1億3100万ドルを失った。

ポリマーケットが公開しているブロックチェーン記録は、選挙やスポーツなどあらゆる事象を賭けの対象とする新興市場の実態を浮き彫りにする。約200万ウォレットの半数近くは、損益が10ドル未満に収まっているが、そのほとんどが損失を出しているのが実情だ。

トロント大学経営大学院のチャールズ・マーティノー教授は「これで生計を立てるなら、とびきりの凄腕が必要になる」と話す。同教授の研究では2022年以降、ポリマーケットのユーザーで約69%が損失を出した一方、利益の4分の3はトップの1%に集中した。

ポリマーケットの担当者は最近の研究結果についてコメントを控えた。

他のプラットフォームに目を向けると、カルシの方がスポーツ賭博アプリより負けの比率が高いことが、シティズンズがまとめた今年の調査で示された。カルシはこの分析を否定している。

予測市場は胴元の不在をセールスポイントとしている。実際は胴元の代わりに、ハイ・フリークエンシー・トレーディング(HFT、高頻度取引)の自動取引が、大きな役割を担っており、取引の大半を少数のウォレットが占める。

サンディエゴ大学経営大学院のジョシュア・デラ・ベドバ教授は、1日の平均取引数が50回を超える、あるいはデータ取得期間に1000回を超えたウォレットを「ボット」に分類した。ブルームバーグの分析ではボットの取引頻度は1日に平均89回で、人間の2.2回を著しく上回る。

こうしたボットが上げた利益は合計1億3100万ドルで、そのほとんどが823のウォレットに集中し、それぞれが10万ドル以上のもうけを出した。

ボットの優位性は予測の精度ではなく、適切な価格で早期に参入することだとデラ・ベドバ教授は指摘する。実際に個人トレーダーの方が頻繁に予測を的中させるが、賭けるタイミングが遅く、価格が悪いため、総額で数千万ドル規模の損失となっている。

「リテール投資家は読みが正しくても負ける。この取引では執行が肝要だ」と同教授は述べた。

そのボットでさえ、過半数が損失を出していることは、デラ・ベドバ教授の研究にもブルームバーグの分析にも示されている。ただし勝った場合の利益があまりにも大きいため、ボット全体ではトップグループに位置する。

リテール投資家が不利だという分析は、旧来の金融市場でも長らく指摘されてきた。しかし通常の金融市場では投資した株式などがまったくの無価値になることはほぼない一方、予測市場では外せば賭け金の100%を失う。

動画:世界をカジノに変える予測市場

ポリマーケットはデータ開示という無類の透明性を提供するが、そこから浮かび上がる顧客の実態は一部に過ぎない。ウォレットの保有者情報は開示されておらず、1人のトレーダーが複数のウォレットを駆使し、多様な戦略で取引している可能性がある。

ポリマーケットにはまた、暗号資産報酬の獲得を目的とした、いわゆる「ウォッシュトレード」が大量に横行しているとの疑惑もある。この種の取引は長期的なポジションを建てず、取引回数を増やすことを目的としているため、利益や損失の統計には大きな影響を与えない可能性が高い。

トロント大学の研究によると、利益は主にマーケットメーカーに流れていた。マーケットメーカーは特にスポーツ賭博で勝ちが顕著だった。

デラ・ベドバ教授と論文を共同執筆したパット・エイキー氏は、予測市場で利益を上げるには明確な戦略と資金が必要で、生活費の補填が目的の初心者向きではないと指摘する。

「予測市場が悪だとは思わない。一定の役割は果たし得る」と同氏は話す。「ただし、家賃の支払いを補う良い手段と見なすべきではない」と述べた。

原題:Prediction Market Users Suffer Broad Losses as Bots Reap Gains(抜粋)

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