(ブルームバーグ):イランのアラグチ外相が、米国の特使らの到着を前にパキスタン入りした。ただ、世界経済を揺るがす8週間に及ぶ戦争の終結に向けた直接交渉の可能性は依然として低い。
イラン外務省報道官は25日、アラグチ外相がパキスタン当局者とのみ会談し、イランの「見解」を伝えると説明。米代表団との協議は予定されていないと述べた。
トランプ米大統領は、娘婿のジャレッド・クシュナー氏とウィトコフ特使を週末の協議に向け派遣する。ホワイトハウスのレビット報道官が24日、FOXニュースのインタビューで明らかにした。
アラグチ外相はこれに先立ち、訪問の目的は二国間問題を巡り関係国と協議することだとSNSに投稿した。イランのメヘル通信は、同外相がパキスタンのムニール陸軍参謀長と会談したと報じた。パキスタンのメディアによると、今後は首相らとも会談する予定。
レビット氏は、イラン側が新たな協議を調整するため米国に接触してきたと主張。「生産的な協議となり、合意に向けて前進することを期待している」とFOXに対し述べた。その後、記者団には、「ここ数日でイラン側に一定の進展が見られる」とも語ったが、詳細は明らかにしなかった。
米交渉団を率いるバンス副大統領は、現時点でパキスタンに向かう予定はないという。
今回のイスラマバードでの会談は、米国がイランに対する圧力を強める中で行われる。すでに5000人以上が死亡している戦争の終結に向け、イランに交渉入りを迫るため、米国は海上封鎖を継続している。
トランプ氏は、封鎖を回避しようとした超大型タンカー2隻を軍が阻止したことを受け、ホルムズ海峡に機雷を設置する小型艇でも撃沈するよう米海軍に命じた。
戦前には世界の原油と液化天然ガスの約5分の1が通過していた同海峡は、米国とイランがそれぞれ課した制限により、現在ほぼ機能停止状態にある。
投資家はホルムズ海峡の再開見通しを巡り、各代表団の動向を注視している。24日の動きを受け、S&P500種株価指数は週間ベースで2024年以来の最長の上昇局面となった。米原油先物は1バレル=94ドルを下回り、国際指標の北海ブレント原油は105ドル超で取引された。

イランが同海峡に機雷を敷設していると主張しているトランプ氏は今回の措置を通じ、同国の原油輸出を断ち、経済的圧力を強めて交渉での譲歩を引き出す狙いだ。同氏はSNSで「私はいくらでも時間があるが、イランにはない。時間は刻一刻と過ぎている」と投稿した。

ヘグセス国防長官は24日、数日以内に2隻目の空母が封鎖に加わると述べた。
トランプ氏の側近は、封鎖によりイランが主な外貨収入源である原油生産の停止を約2週間以内に余儀なくされるとの見方を示している。一方、JPモルガン・チェースのアナリストは、米国の目標達成には1カ月近くかかる可能性があると指摘する。
米海軍の作戦により、イラン関連の船舶の多くはホルムズ海峡の通過を断念して引き返している。ただ、船舶追跡会社によると一部は通過しており、イランがより長く制限に耐える可能性がある。
原題:Iran’s Araghchi Arrives in Pakistan With US Talks Still in Limbo(抜粋)
--取材協力:Tooba Khan、Eltaf Najafizada、Catherine Lucey.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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