(ブルームバーグ):元お笑い芸人の井村俊哉氏などが設立した投資助言会社のKaihou(東京都港区)は、私鉄大手の近鉄グループホールディングスと旅行子会社のKNT-CTホールディングスの取締役会に対し、親子上場を巡るガバナンス(統治)に懸念を示す書簡を送ったことが分かった。
ブルームバーグが入手した書簡によると、「近畿日本ツーリスト」や「クラブツーリズム」を傘下に置くKNTCTには近鉄GHDとの親子関係の現状維持あるいは解消、強化、完全子会社化などあらゆる選択肢のメリット、デメリットについて見解を示すよう求めた。近鉄GHDにも資本政策の比較検討を要求。Kaihouは、同社が関与する公募投資信託でKNTCT株を7%弱保有している。
さらにKaihouは、KNTCTの人事・報酬諮問委員会の議長や独立社外取締役の一部で実質的な独立性に疑義が残るとも指摘。近鉄グループ各社の資金管理を一元化するキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)にKNTCTが多額の資金を預け入れ、近鉄GHDが保有するKNTCT優先株の配当率がCMSの運用利回りを上回る逆ざやとなっている点にも懸念も示した。
KNTCTの有価証券報告書によると、CMSの預入残高は2025年3月末時点で762億円。同社の時価総額は514億円だ。
井村氏は、ブルームバーグの取材で書簡の内容や送付事実について認めた。両社との対話を通じ現実的な解決策を模索したいとし、株主提案は現時点では考えていないが、対話の結果次第では可能性は排除しないと説明。「社外取締役の独立性基準が機能していないことなど、昭和のガバナンスとなっていることに危機感を持っている」と述べた。
親子上場企業のCMSを巡っては、物言う株主(アクティビスト)として知られるストラテジック・キャピタルが大阪製鉄や日産車体に対し資本効率の悪化やガバナンスへの懸念を表明。12年にはエッフィシモ・キャピタル・マネージメントが日産車体にCMSを巡る訴訟を起こしたが、棄却された。
東京証券取引所は昨年2月に公表した当該企業にグループ経営や少数株主保護に関する一層の検討、投資家との対話を求めた「親子上場等に関する投資者目線」の中で、親会社を持つ上場企業はCMSの参加意義や実態を開示することが望ましいと指摘している。
親子上場について株式市場では、支配株主と少数株主の間で構造的な利益相反が起こる可能性が長年懸念されている。東証は3月、少数株主保護を念頭に上場制度の見直しを発表し、支配的株主がいる企業を対象に取締役選任議案への少数株主の賛否割合などを開示することを義務付けた。韓国では、親子上場は原則禁止すると3月に当局が発表した。
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