イーロン・マスク氏率いる米宇宙開発企業のスペースXは、人工知能(AI)コーディングのスタートアップであるカーソルを年内に600億ドル(約9兆5600億円)で買収するか、同社との協業に対して100億ドルを支払うことで合意したと発表した。スペースXはAIコーディングの分野で競合他社に追いつこうとしている。

スペースXはXへの投稿で、両社が「現在、世界最高のコーディングおよび知識労働向けAIを構築するために緊密に連携している」と説明した。

年内の新規株式公開(IPO)を計画するスペースXは最近、マスク氏率いるAI企業のxAIと合併した。同氏は、AIコーディングで自社が競合他社に後れを取っていると指摘し、徹底的に再構築すると誓っていた。同氏は3月に人員削減を指示した一方、エンジニア人材の確保も進めており、過去にカーソルからの採用も行っていた。

事情に詳しい関係者が匿名を条件に話したところによると、スペースXは新規株式公開(IPO)を控えているため、カーソルを直ちに買収するわけではない。大規模な取引を行う場合、同社は提出書類や財務詳細を更新する必要があり、2兆ドルの評価額を目指すIPOが遅れる可能性がある。取引に詳しい関係者によると、100億ドルは取引が成立しなかった場合の違約金だという。スペースXとxAIは、コメント要請に対しすぐには回答しなかった。

カーソルは、評価額500億ドル超で約20億ドルを調達する資金調達ラウンドについて投資家と協議していたと、ブルームバーグは先週報じている。ただ、この資金はコンピューティングニーズに充てられる予定だったが、今後はxAIがこれを担うため、同社はこのラウンドを進めていないという。

2023年に開始されたカーソルのAIアシスタントは、プログラマーのコード作成やデバッグを効率化する。ソフトウエア開発者の間でAIコードツールの需要が急増する中、同社は史上最も急成長している新興企業の1つに浮上。テクノロジー業界でいう「バイブコーディング」時代の中核的存在となっている。

ただ、AIを用いたコーディングには膨大なコンピューティングリソースが必要となる。テネシー州とミシシッピ州に巨大なデータセンターを擁するスペースXには、そのリソースが豊富にある。

カーソルのオスカー・シュルツ社長は「スペースXは膨大なコンピューティングリソースを有しており、協力することでモデル開発を拡大できると考えている。非常に楽しみにしている」と述べ、「同社のチームを実に気に入っている」と付け加えた。

カーソルの投資家には、エヌビディア、アルファベット傘下のグーグル、OpenAIのベンチャーファンド、アンドリーセン・ホロウィッツ、スライブ・キャピタル、アクセル、DSTグローバルなどが名を連ねる。

原題:SpaceX Has Deal for Right to Acquire Cursor for $60 Billion (2)(抜粋)

(関係者の話を追加して更新します)

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