(ブルームバーグ):三菱UFJ銀行の大沢正和頭取は、欧米で信用不安が拡大しているプライベートクレジットについて「まとまった損失が出ることは想定していない」と述べた。金融システムへの影響に警戒感もくすぶる中、国内最大手の銀行トップは自社のリスクは限定的との見方を示した。
1日付で就任した同氏はインタビューで、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)傘下の銀行として高度なリスク管理体制を備えていることに加え、海外で問題となっている種類のプライベートクレジット関連残高は「そこまで持っていない」と理由を説明した。日本経済全体への影響については「信頼できるデータが不足している」として言及を控えた。
プライベートクレジットを巡っては、借り手や貸し手が破綻する例が相次いだことから融資の質に対する警戒感が高まっている。JPモルガン・チェースなど米大手銀3行のプライベートクレジット向け投融資残高は、少なくとも1000億ドル(約15兆9000億円)に上る。
一方、日本の金融機関の関連残高は相対的に少ないとされるが、三井住友銀行は経営破綻した英住宅金融会社に約1億ポンド(約210億円)のエクスポージャーがあったことが明らかになっており、影響が完全にないとは言い切れない状況だ。
大沢氏はまた、金融機関を取り巻くリスクとしてサイバーセキュリティーの重要性にも言及した。米アンソロピックの最新の人工知能(AI)モデル「Mythos(ミトス)」の高度な性能を背景に銀行システムへの潜在的な脅威が広がっていることに関連して「サイバーセキュリティーリスクは金融機関のトップリスクの一つで、対応を強めることが大切」と述べた。
預金獲得に本腰
中東情勢が緊迫化する中、日本企業の資金需要については「足元の状況次第ではあるが、ベースは強いものがある」と語った。活発な企業の合併・買収(M&A)、アクティビストファンドの活動、AI投資などを背景に挙げた。
こうした資金需要を支えるための原資となる預金獲得には強い決意を示した。日本では金利のある世界が到来し、特に個人向けではインターネット銀行を含めた預金獲得競争が激化している。三菱UFJ銀行と三菱UFJ信託銀行を合算した預金量は200兆円、個人預金だけでも90兆円と国内トップを誇るが、「危機感がある」との現状認識だ。
MUFGが昨年から展開する新たな総合金融サービス「エムット」を軸に、今期(2027年3月期)後半には新しいデジタル銀行の開業も計画している。サービスの利便性や手数料水準、システムの信頼性を武器に顧客基盤の拡大を図る。
「これまでのネットバンクでは実現できなかったような、ひとりひとりに合った形のサービスを提供していく」として、競争激化に対応する考えを示した。
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