トランプ米大統領は21日、イランとの停戦を無期限で延長した。当面の焦点は、数千人の死者を出し、世界的なエネルギー不足を招いた戦争の終結で双方が合意できるかどうかにある。

緊張は依然として続いている。和平協議に向けた動きが停滞する中、イランは米国の圧力に対抗し、強硬姿勢を続けている。一方、米国も対イラン海上封鎖の解除を拒んでいる。

米国とイランの協議が再開したとしても、欧州や湾岸アラブ諸国の一部指導者は、完全な和平合意が短期間で取りまとめられるかどうかに懐疑的だ。事情に詳しい両地域の当局者は、和平合意の成立には約6カ月を要するとの認識を示している。

持続的で包括的な合意に至る上での主な障害は以下の通りだ。

ホルムズ海峡

ホルムズ海峡の航行再開は、米国とイランにとって最も差し迫った課題だ。戦争が始まった後、イランは世界の石油・液化天然ガス(LNG)供給の約5分の1が通過するホルムズ海峡へのアクセスを制限し、エネルギー価格を急騰させた。自国の原油輸出は継続する一方、他国の船舶については交渉の末に、時には最大200万ドル(約3億2000万円)の通航料を要求した上で通過を認めてきた。

停戦後もホルムズ海峡の通航は大幅に制限されたままで、パキスタンでの協議決裂を受け、米国はイランの港に立ち寄った、またはそこに向かう船舶に対する封鎖措置を実施した。イランの原油輸出を抑制し、海峡を全ての船舶に無料で開放するよう圧力をかける狙いがある。

イランは、米国による封鎖が解除されるまで、海峡の再開や和平交渉には応じないとしている。一方、トランプ大統領は、合意が成立するまで封鎖は維持されると主張している。

イランがホルムズ海峡、ひいては世界経済に対する影響力を容易に手放すとは考えにくく、米国からの大幅な譲歩なしにそれが実現する可能性も低い。トランプ氏が第1次政権で強力な制裁を柱とする「最大限の圧力」戦略を進めた際にも、原油輸出の低迷が長期化する状況にイランは耐えてきた。

核開発問題

トランプ大統領は、パキスタンでの協議が不調に終わった理由として、イランが核プログラムの放棄を拒否した点を挙げた。米国はブシェールの民生用原発を除き、イランの核能力を完全に取り除くよう求めている。ウラン濃縮停止や高濃縮ウランの国外搬出も要求している。

イランは核兵器開発の意図を否定しているが、西側諸国の一部は懐疑的だ。イラン側は民生目的のウラン濃縮は正当な権利だと主張している。

トランプ大統領はイランが核開発計画の無期限停止に同意したと述べているが、この譲歩についてはイラン当局が否定した。

国際原子力機関(IAEA)がイランのウラン備蓄を最後に検証できたのは2025年6月の米・イスラエル攻撃以前で、その時点で濃縮度60%のウラン441キログラムを保有していた。さらに濃縮すれば、十数発分の核爆弾に相当する量となるが、現在の所在や状態は不明だ。

レバノン情勢

イスラエルが親イラン民兵組織ヒズボラと戦闘を続けるレバノンでの紛争長期化は、米国がイランとの戦争終結を目指す取り組みを損なう恐れがある。パキスタンでの初回協議に参加したイランのガリバフ国会議長は、「レバノンでの停戦はイランでの停戦と同じくらい重要だ」と述べた。

米国はレバノン情勢の緊張緩和に向け、別の外交ルートで対応してきた。4月中旬にはイスラエルとレバノンの直接交渉を仲介し、30年超ぶりの高官級協議が実現した。トランプ氏は16日、10日間の停戦合意を発表したが、ヒズボラはこの交渉の当事者ではなかった。

イスラエルのネタニヤフ首相は、停戦期間中、南レバノンの「安全緩衝地帯」にイスラエル軍を駐留させると述べた。和平協議における同首相の主要な要求の一つはヒズボラの武装解除だ。ヒズボラは自らの軍事力の解体を拒否しており、レバノン政府も過去に同組織の武装解除に失敗している。

その他の争点

米国はイランに対し、弾道ミサイル開発の制限も求めている。ミサイルは中東以外にも届く軍事的脅威であり、核弾頭の運搬手段にもなり得る。

また、ヒズボラやイエメンの親イラン武装組織フーシ派など、米国がテロ組織に指定する勢力への資金・武器供与の停止も要求している。イランはこれらを中東での影響力を拡大する「抵抗の枢軸」と位置付けている。

一方、イラン側は制裁解除に加え、戦争被害の賠償や米軍戦闘部隊の地域からの撤退といった、実現が極めて難しい要求も盛り込んでいる。

トランプ大統領は政治・経済的圧力が強まる中、強硬姿勢を一部緩める可能性もある。戦争によりガソリン価格は22年以来となる1ガロン=4ドル超を付けた。中間選挙を控え、消費者の負担も増している。

原題:Can the US and Iran Agree to a Deal to End the War?: Explainer(抜粋)

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