米国とイランが合意した2週間の停戦の期限が迫る中、数千人の死者を出し、世界的なエネルギー不足を招いた戦争を終結させることで一致できるかが最大の焦点となっている。

パキスタンでの協議は和平合意に至らず終了したものの、事情に詳しい関係者によれば、交渉の時間を確保するため、停戦をさらに2週間延長する案が検討されている。

現在の停戦は4月8日の発効以降おおむね維持されているが、持続性を揺るがし、長期的解決を阻む要因も多い。以下に主なハードルを挙げる。

ホルムズ海峡

戦争が始まった後、イランは世界の石油・液化天然ガス(LNG)供給の約5分の1が通過するホルムズ海峡へのアクセスを制限し、エネルギー価格を急騰させた。自国の原油輸出は継続する一方、他国の船舶については交渉の末に、時には最大200万ドル(約3億2000万円)の通航料を要求した上で通過を認めてきた。

停戦後もホルムズ海峡の通航は大幅に制限されたままで、パキスタンでの協議決裂を受け、米国はイランの港に立ち寄った、またはそこに向かう船舶に対する封鎖措置を実施した。イランの原油輸出を抑制し、海峡を全ての船舶に無料で開放するよう圧力をかける狙いがある。

ただ、この戦略は裏目に出る恐れもある。すでに少ない通航量をさらに減らす恐れがあり、イランは報復として紅海の航路を妨害する可能性を示唆している。紅海はサウジアラビアにとって代替輸出ルートとして重要だ。

イランがホルムズ海峡、ひいては世界経済に対する影響力を容易に手放すとは考えにくく、米国からの大幅な譲歩なしにそれが実現する可能性も低い。トランプ氏が第1次政権で強力な制裁を柱とする「最大限の圧力」戦略を進めた際にも、原油輸出の低迷が長期化する状況にイランは耐えてきた。

イランが逆封鎖によって歩み寄ったとしても、ホルムズ海峡の通航が本格的に再開するには時間がかかる。船主は、乗組員や船舶がミサイルやドローン、機雷の標的とならず、安全に通航できると確信する必要がある。また、海峡の両側には多数の船舶が滞留している。

核開発問題

トランプ大統領は、パキスタンでの協議が不調に終わった理由として、イランが核プログラムの放棄を拒否した点を挙げた。米国はブシェールの民生用原発を除き、イランの核能力を完全に取り除くよう求めている。ウラン濃縮停止や高濃縮ウランの国外搬出も要求している。

米紙ニューヨーク・タイムズによれば、米国はイスラマバードでの協議で全ての核活動の20年間停止を提案したが、イラン側は期間を最大5年とするよう抵抗した。

イランは核兵器開発の意図を否定しているが、西側諸国の一部は懐疑的だ。イラン側は民生目的のウラン濃縮は正当な権利だと主張している。

国際原子力機関(IAEA)がイランのウラン備蓄を最後に検証できたのは2025年6月の米・イスラエル攻撃以前で、その時点で濃縮度60%のウラン441キログラムを保有していた。さらに濃縮すれば、十数発分の核爆弾に相当する量となるが、現在の所在や状態は不明だ。

レバノン情勢

イスラエルは対イラン攻撃を2週間停止することに同意する一方、レバノンの親イラン民兵組織ヒズボラとの戦闘は続けていた。イランは停戦違反と主張したが、米国とイスラエルはレバノンは対象外としていた。

レバノン情勢次第で、対イラン戦争終結の取り組みが損なわれる可能性がある。イランのペゼシュキアン大統領はレバノンの同胞を決して見捨てないと表明した。

米国は4月中旬にイスラエルとレバノンの直接交渉を仲介。30年余りぶりの高官級協議が実現した。トランプ大統領は16日、10日間の停戦合意を発表したが、ヒズボラの関与については言及していない。同組織は米が仲介する協議を拒否し、合意に従わない姿勢を示している。

その他の争点

米国はイランに対し、弾道ミサイル開発の制限も求めている。ミサイルは中東以外にも届く軍事的脅威であり、核弾頭の運搬手段にもなり得る。

また、ヒズボラやイエメンの親イラン武装組織フーシ派など、米国がテロ組織に指定する勢力への資金・武器供与の停止も要求している。イランはこれらを中東での影響力を拡大する「抵抗の枢軸」と位置付けている。

一方、イラン側は制裁解除に加え、戦争被害の賠償や米軍戦闘部隊の地域からの撤退といった、実現が極めて難しい要求も盛り込んでいる。

トランプ大統領は政治・経済的圧力が強まる中、強硬姿勢を一部緩める可能性もある。戦争によりガソリン価格は22年以来となる1ガロン=4ドル超を付けた。中間選挙を控え、消費者の負担も増している。

原題:Can the US and Iran Conclude a Deal to End the War?: Explainer(抜粋)

もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp

©2026 Bloomberg L.P.