4月16日の米国市場は、イラン情勢の改善期待が高まる中で楽観論が強まり、株価が上昇した。トランプ大統領がイスラエルとレバノンが10日間の停戦で合意したと、SNSに投稿したことなどが注目された。

また、ナスダック指数は12日続伸しており、ハイテク関連株の強さも続いた。この日は、TSMCの決算が好調だったことが注目された。

イラン情勢の不確実性は残るものの、徐々に改善が進んでいる。少なくとも、市場ではリスク選好が強くなっており、VIX指数は17.94ptと、3月27日につけた31.05ptから大きく低下した(直近では7日連続で低下)。

もっとも、すでにVIX指数はイラン情勢が悪化する前の2月平均である19.21ptを下回っている。そろそろリスク選好が強まる流れは一巡する可能性が高く、反動によって原油高の悪影響にテーマが変化する可能性には注意が必要である。

債券市場では金利が上昇した。

長期金利は前日差+2.8bp、2年金利は同+1.2bpだった。債券市場のボラティリティ指数であるMOVE指数も低下傾向にあり、この日は65.89ptに低下した(直近では3日連続で低下)。

3月26日につけた115.02ptから大きく低下し、2月平均の64.52ptと近い水準に戻った。

ボラティリティが低下していることに加えて、長期金利は4.31%と2月平均の4.11%より高い水準となっている。

インカム確保のためのニーズが強まりやすい相場環境と言えるため、債券相場は堅調な推移が続きそうである。

〈片山財務相は日銀の利上げをけん制、やはり4月利上げの可能性は低い〉

この日、G7財務相・中央銀行総裁会議に参加した片山さつき財務相は、利上げが経済に与え得る悪影響を懸念し、金融政策について「様子見」とする声が多く上がったと明らかにした(Bloomberg)。

片山氏は中東情勢が物価や経済に与える影響が見通しづらい状況が続いていると指摘した上で、「この状態の中では利上げは経済にバッドインパクトも当然あり、今は様子見だということを発言する中銀総裁が多かった」(Bloomberg)と述べた。

市場では、日銀の利上げ観測の後退が続いており、円OIS市場が織り込む4月の利上げ確率は19.3%にとどまっている。今回の片山氏の発言はこのような見方をサポートするものである。

むろん、各国の中央銀行が置かれている状況は異なる点には注意が必要である。

例えば、FRBは利下げが基本シナリオだったことから(政策金利が中立金利を上回っているとみられることから)、政策を急転回させて利上げをすることのリスクは大きい。

しかし、日銀は利上げが基本シナリオだったことから、市場で想定されていた通りの利上げをすることは問題ない(経済へのリスクは小さい)と考えることは妥当である。

日銀は、様子見のために4月利上げをスキップしたとしても、利上げ路線が続いていることをアピールするだろう。

〈国債買い入れ計画の変更と利上げの「合わせ技」の観測に注目が必要〉

日銀が4月利上げをスキップした場合、市場では6月15-16日の決定会合で利上げが実施される可能性が意識されるだろう。

もっとも、6月の決定会合では国債買い入れの減額計画の中間評価が行われる予定であり、こちらの議論との兼ね合いとなるという見方があり、議論がやや複雑になりやすい。

例えば、日銀の国債買い入れ減額の影響によって金利上昇圧力が過剰になっていると判断されれば、国債買い入れの減額ペースを緩やかにするというハト派的な結果になり得る。

その場合、国債買い入れ計画はハト派方向の動きになるため、政策金利についてはタカ派方向の利上げによってバランスをとる、といった観測が、市場で生じる可能性がある。

日銀は6月の中間評価を前に、5月21-22日に債券市場参加者会合を開催すると公表した。市場参加者からの意見には注目が集まるだろう。

なお、3月2日に公表された「債券市場サーベイ」(調査期間は2月2~6日)では、債券市場の機能度判断DIが25年11月調査と比べて小幅に低下していた。

金利水準が上昇していることも含めて、議論はどちらかと言えばハト派方向になりやすい。

ただし、現状の計画では、国債買い入れペースを26年3月までは毎四半期4,000億円程度ずつ減額するとされ、26年4月から27年3月まで毎四半期2,000億円程度ずつ減額するとされている。

26年4月から減額幅が小さくなる(緩和方向になる)ことが基本となっているため、現行の計画通りに変化させていけば、市場機能も改善するだろうという見方が多いのではないだろうか。大幅な計画変更は想定されない。

そもそも、市場では国債買い入れ計画と利上げのタイミングの関係性に注目が集まる可能性があるものの、日銀は国債買い入れ計画を金融政策とは切り離している。

あくまでも、利上げの判断は経済・物価の動向次第である。

そのように考えると、前述した「国債買い入れ計画(ハト派)と利上げ(タカ派)の合わせ技」が市場で議論されたとしても、日銀が公式にこの考えを全面的に押し出す可能性はほとんどない。

結局は、7月に公表される予定の日銀短観(6月調査)の結果を待った方が良いという判断になり、6月利上げはスキップされるだろうと、筆者は予想している。

※情報提供、記事執筆:大和証券 チーフエコノミスト 末廣徹