トランプ米大統領は西部で経済政策の実績を訴える遊説に乗り出す。ホワイトハウスは11月の中間選挙を前に、不支持が広がるイラン戦争への対応に追われている。

アフォーダビリティー(暮らし向き)の問題が米国の家計に重くのしかかる中、有権者に対して政権の経済面での実績を改めて訴える必要があるとの認識が政権内および議会共和党の間で強まっている。トランプ氏が2024年に制した激戦州ネバダ、アリゾナ両州を今週訪問する背景にはこうした認識がある。

ホワイトハウスのレビット報道官は、トランプ大統領が16日にラスベガスのイベントで、自らの看板政策である税制改革をアピールし、民主党が一様にこれに反対したことを有権者に改めて訴える考えだと明らかにした。

レビット氏は15日の記者会見で、「民主党は米国民が苦労して得た収入を政府がもっと取り上げるべきだと考える『アフォーダビリティーの偽善者』で、これまで幾度もそれを示してきた」と述べた。

こうした内政重視への転換の試みは、イランとの戦争が引き続き金融市場を揺るがし、外交的解決の見通しが立っていない中で行われている。世論調査では、大統領の戦争対応に不支持を示す米国民が過半数に上り、ガソリン価格の上昇についても大統領の責任を問う声が出ていることが示されている。

米カリフォルニア州トレーシーにあるシェブロンのトラック向け給油所(3月25日)

しかし、党にとって大きな課題はトランプ大統領自身だ。大統領はしばしば話題をそらし、経済関連の行事の場でも、イランとの戦争や政敵、報道機関、さらにはホワイトハウスの改修計画といった別の問題に言及することが多い。

スーン上院院内総務を含む複数の共和党議員は今週、戦争の収束に向けた計画を示すようトランプ氏に求め、世界の石油供給のおよそ2割が通過するホルムズ海峡の閉鎖により、消費者や農家が大きな負担に直面していると指摘した。

トランプ氏による経済政策の訴えは、すでにガソリンや医療費、その他の物価高に苦しむ有権者にとって受け入れがたいものとなる可能性がある。納税者は前年より多い還付金を受け取っているものの、申告シーズンを前にトランプ氏が数カ月にわたり約束していた水準には大きく及んでいない。

内国歳入庁(IRS)のデータによると、今年は昨年より多くの人が税還付を受けており、その平均額は2025年より約350ドル(約5万6000円)増加している。ただし、これはトランプ氏が公約していた平均1000ドルの約3分の1にとどまる。

納税者がこの増加をほとんど実感していない兆しも出ている。シンクタンクの超党派政策センターが最近実施した世論調査では、昨年の税制変更によって恩恵を受けたと答えたのは27%にとどまり、24%は不利益を受けたと回答、38%は変化を感じなかったとしている。

上院財政委員会の民主党トップ、ワイデン議員は15日、「現実には、この税法は大多数の働く人にとって期待外れだ」と述べた。

それでもトランプ大統領は、ラスベガス訪問の際、自らの税制法案の柱の一つである、チップ収入を連邦税から一時的に控除できる措置を大きくアピールするとみられている。

これに先立ちホワイトハウスは13日、ドアダッシュの配達員がマクドナルドの商品をトランプ氏に届ける様子を演出した。トランプ氏は配達員に対し、自身の「チップ非課税」政策の恩恵を受けたかどうかを尋ね、記者がホワイトハウスのチップ慣行について質問した後、現金100ドルを手渡した。

ホワイトハウスの大統領執務室の前で、ドアダッシュの配達員にチップを手渡すトランプ大統領(13日)

トランプ大統領は17日にアリゾナ州フェニックスを訪れ、保守系団体「ターニング・ポイントUSA」が主催するイベントに出席する予定だ。同団体は高校や大学のキャンパスで活動を展開している。

この団体は長年にわたり、若い保守層の有権者を動員する重要な役割を担ってきた。共和党は中間選挙を前に、この層の活性化を図りたい考えだ。今回のイベントには感情的な側面もある。同団体の創設者チャーリー・カーク氏が数カ月前、ユタ州の大学で登壇中に暗殺されたためだ。

トランプ氏は、カーク氏の妻エリカ氏とともに登壇する見通しだ。エリカ氏はその後団体の指導者を引き継ぎ、保守政治における影響力の維持に努めている。

原題:Trump Turns From Iran to Economy as GOP Faces Midterm Headwinds(抜粋)

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