(ブルームバーグ):米国とイランの停戦が脆弱(ぜいじゃく)さを増していることで、米国債市場の関心はインフレに戻っており、金利はより長く高止まりするとの観測も強まっている。
米国とイランが協議で合意に至らなかったことを受け、エネルギー価格上昇が既に高い物価圧力をさらに押し上げ、米連邦準備制度による利下げを遅らせる可能性が、米国債市場で最大の懸念となっている。
ナティクシス・ノースアメリカなどのトレーダーやストラテジストは、利回りが高止まりするとみて身構える。インフレ見通しがより明確になるまでは、大きな資産配分の変更を控える動きも広がる。
10日に発表された3月の米消費者物価指数(CPI)上昇率は前月比で2022年以来の大きさとなった。これを受けて年内の利下げ観測は後退。10年物米国債利回りは4.3%を上回った。
ナティクシスの米金利戦略責任者、ジョン・ブリッグス氏は「焦点は再びインフレに移った。労働市場はせいぜい横ばいにとどまり、構造的な力強さに欠けるが、当面の焦点はインフレだ」と語った。
こうした動きは、市場の見方がいかに急速に変化したかを浮き彫りにする。原油価格が紛争前を大きく上回る水準にある中、インフレは無視できない状況だ。長期化する紛争が最終的に経済成長を下押しする可能性がある中、エネルギー高がどのくらいの期間、消費者物価に波及し続けるかが当面の焦点だ。
一方、労働市場は底堅さを維持している。3月の非農業部門雇用者数は24年末以来の大幅増となり、失業率は4.3%に低下した。早期の利下げは一段と難しくなっている。
ウィズダムツリーの投資戦略責任者ケビン・フラナガン氏は「インフレ動向をはっきりと見極めるには、少なくとも3カ月を要する」と話す。インフレ率がなお連邦準備制度の目標を約1ポイント上回り、失業率も4.5%近くで推移する中、「利下げを急ぐ必要性は乏しい」との見方を示した。
市場では既に利下げ時期の見通しが後ずれしており、次回の0.25ポイントの利下げは27年半ばまで先送りされるとの見方が出ている。紛争前は年内に2回の利下げが織り込まれていた。連邦準備制度は昨年12月にフェデラルファンド(FF)金利誘導目標を3.5-3.75%へ引き下げて以降、据え置いている。
停戦の持続性やホルムズ海峡の情勢、原油価格の動向を巡る不透明感は、金融政策見通しが定まらない中、米国債の短期ゾーンに重荷となっている。
資産運用会社ボントベルの投資責任者アンドルー・ジャクソン氏は、「中期的なインフレの行方に不確実性があると説明できる点で、連邦準備制度の対応はやや容易になった」と指摘する。連邦準備制度が「想定より長く様子見を続ける可能性が高い」ことから、3-5年ゾーンの魅力が高まっているとみる。
原題:Bond Traders Snap Back to Inflation as Higher-for-Longer Sets In(抜粋)
--取材協力:Edward Bolingbroke.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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