中国の原油タンカー2隻がペルシャ湾のホルムズ海峡付近に接近し、3隻目もその地点に向かっている。発効から1日余りの米国とイランによる停戦合意後、同海峡を通過する初の非イラン籍大型タンカーとなる可能性があるが、船主の多くは停戦の詳細を見極めようとしている。

船舶追跡データによると、中国国有のコスコシッピング(中国遠洋海運集団)に関係する超大型原油タンカー(VLCC)「Cospearl Lake」と、小規模な会社が所有する「He Rong Hai」は9日早朝、ほぼ最高速度でペルシャ湾を東進。その数時間後にはコスコに関連するもう1隻のVLCCが、ペルシャ湾を東に向かい始めた。

いずれも追跡システム上で、中国籍であることを示している。中国籍であることを明らかにするのは、イランが承認した航路を安全に通航するためにとる一般的な措置だ。

これらを含め、アラブ首長国連邦(UAE)沖のホルムズ海峡入り口付近にタンカーが集結しつつある。サウジアラビア船籍のVLCC「ジャハム」も、ドバイ沖の待機海域付近に向けて東へ移動した。この海域では、原油を満載したインド船籍のVLCC2隻、「Desh Vibhor」と「Desh Vaibhav」なども3月下旬から待機を続けている。

中国船籍の超大型タンカー「Cospearl Lake」(青線)と「He Rong Hai」(赤線)は9日朝にホルムズ海峡入り口に向かって東進。3隻目「Yuan Hua Hu」(白線)も数時間後に続いた

イランと米国は、ホルムズ海峡の封鎖解除を前提に戦闘の一時停止で合意したが、合意内容の不透明さやイスラエルによるレバノン攻撃を含む戦闘の継続により、停戦の実効性には疑問が広がる。停戦合意以降、海峡の航行状況にはまだほとんど変化がない。

中国船とサウジ船の動きは海峡通航の意思を示しているが、実際に通航できるかは 不透明だ。

複数の船主は9日、安全な航行が可能なのか詳細をまだ待っていると説明。イランは通航には同国の許可が必要だと無線通信で待機中の船舶に通知した。

商船三井の田村城太郎社長は9日、東京都内でブルームバーグテレビジョンのインタビューに応じ、ホルムズ海峡の通航再開に関して安全が最優先であり、「状況を注視する必要がある。2週間後にどう状況が改善しているかがわれわれにとって非常に重要だ」と語った。

ペルシャ湾には同社の船舶も取り残されている。停戦や海峡の通航再開の実効性については「今後数日でその意味が明らかになる」との見方を示し、日本政府とも緊密に協力していると説明した。

サウジ産原油

中国タンカーはその積み荷も注目を集めている。2隻はイラク産原油、もう1隻はサウジアラビア産原油を積載する。これまでの通航許可は主に友好国に限られ、イスラム教シーア派のイランはイラクを「兄弟国」と呼んでいるが、サウジはスンニ派の大国だ。

コスコの2隻が通過に成功すれば、同社にとって戦争開始以降で初めてとなる。海運大手他社と同様に同社も安全策をとり、2隻とも戦争開始以降は他のタンカーの一団とともにペルシャ湾中央部に停泊していた。

それが9日になって全速力に近い速度で東進を開始。ただ、海峡の入り口が近づくにつれて速度を落とし、入り口付近で停止した。

この海域では電子妨害が行われており、船舶の信号や位置情報が誤っている可能性もある。

3月後半に同社のコンテナ船2隻が同様の航路を取り、その後、イラン沿岸に沿って北上したことはあった。このルートは、イラン政府の承認を得て海峡脱出に成功した他の船舶も採用している。

中国政府は後に、中国船の湾外退避に向け関係当事者と連携したことを認めたが、対象船舶の名称は明らかにしなかった。

海運データベースのエクアシスによれば、Cospearl Lakeはコスコ系の中遠海運能源運輸(CSET)が運航している。同船は1月後半にペルシャ湾内に入り、3月前半にイラクのバスラに向かい、原油200万バレル近くを積み込んだ。コスコは、コメントを求めた電子メールに回答しなかった。

He Rong Haiは2月下旬の戦闘開始直前に湾内へ入った。同船は3月前半にサウジのジュアイマで200万バレル余りの原油を積載した。エクアシスよると、同船のオーナーとして海南の海運会社が記載されている。

原題:China Tankers Join Line to Test Hormuz Exit and Iran Truce (3)(抜粋)

(情報を追加します)

--取材協力:Sarah Chen、Dan Murtaugh.

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