(ブルームバーグ):アジアを代表するスキーリゾート地である北海道ニセコの価値向上につなげようと、国内在住の個人投資家が札幌証券取引所に上場する企業に株主提案を行った。
株主提案を行ったのは子供服メーカー、ナルミヤ・インターナショナル創業家一族出身で会社経営の成宮一雄氏(53)。札証に単独上場している北海道中央バスに対し、「支配株主が現状維持で満足することで、成長への動機付けが起きない」などとしてガバナンス(企業統治)改善の検証委員会設置を求める株主提案を行ったと6日に公表した。
北海道中央バスは新千歳空港や札幌駅からニセコまでの高速バスの運行やニセコの主要観光地の一角であるアンヌプリ国際スキー場などの運営のほか、札幌市内で中心街のバスターミナルやテナントビル2棟などを所有している。硬直したガバナンス体制を変えることで、これら保有資産の一層の有効活用を促す狙いだ。
日本では近年、ガバナンス改革が重要課題となり株主が企業に対して圧力を強めている。ただ、地方の取引所に上場する企業に対しては、地元金融機関や取引先などによる株式持ち合い比率が高いこともあり、同様の規律が十分には浸透していない。今回のケースは地方企業の活性化に一石を投じる役割を果たすかという点でも注目される。
成宮氏が同社に興味を持ったきっかけは、家族でニセコにスキーに行った時に感じた不便さだ。「バスの減便で皆が困っていたが、大型バスにこだわらずに、マイクロバスなどで利便性を上げることはできるのでは」と考えた。
そこで、ナルミヤ株の売却益などで得た手元資金を使って運営元の北海道中央バスに投資を始めた。現在の保有比率は1.68%で、6日終値で計算すると3億7100万円相当となる。
さらに調べると、世界的な高級リゾートエリアとあって、近隣のスキー場は外資主導で10人乗りの最新ゴンドラや6人乗りの高速リフトへ次々と設備の更新を続けていた。一方のアンヌプリは6人乗りゴンドラ、旧世代の4人乗りリフトが主流。成宮氏は、未利用地も多く「大きなポテンシャルを生かし切れていない」と指摘する。
主な原因として挙げるのはなれ合いの資本構造だ。発表資料によると、約40%を保有する筆頭株主で非上場企業の中央バス総業(札幌市)は、北海道中央バスの持ち分法適用会社でもあり、両社は相互持ち合いの関係にある。中央バス総業の取締役4人のうち3人が北海道中央バスの取締役を兼任している。
北海道中央バスの売上高は、1995年3月期に447億円を計上後、ニセコに観光ブームが訪れても1度も上回ることはなく、直近の25年3月期は360億円だった。
このため、成宮氏はガバナンス改善が企業価値向上の鍵だとみて、6月下旬に開催予定の定時株主総会にガバナンス体制をチェックする専門組織を常設するよう定款変更を求める株主提案を今月3日付で提出した。
ブルームバーグの取材に対して成宮氏は「原野だったニセコに可能性を見いだした先見性の高さは尊敬する」とした上で「地元経済のために上場企業として頑張ってほしい。いち投資家として応援したい」と述べた。また、日本市場活性化のためには「東京証券取引所レベルの規律を日本全体に拡大する努力が必要だ」とも語った。
北海道中央バスの担当者に連絡を試みたが、現時点でコメントは得られていない。
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