政府は26日開いた経済財政諮問会議に、著名な経済学者のオリビエ・ブランシャール氏らをゲストスピーカーとして招いた。高市早苗政権が掲げる「責任ある積極財政」について、国際的な理解を得る狙いがあるとみられる。

マサチューセッツ工科大学(MIT)のブランシャール名誉教授が出席したほか、ハーバード大学のケネス・ロゴフ教授もオンラインで参加した。両氏はマクロ経済政策について見解を示した後、閣僚や日本銀行の植田和男総裁などのメンバーと議論を交わした。

オリビエ・ブランシャール氏

諮問会議が海外の著名学者を招くのは、安倍晋三政権当時の2017年にノーベル経済学賞受賞者でコロンビア大学教授のジョセフ・スティグリッツ氏を招へいして以来となる。

高市首相の消費減税方針を巡り、国債市場では1月に財政拡張懸念から超長期金利を中心に急騰。片山さつき財務相は、財政政策が海外市場に正確に伝わっていなかったことが背景と指摘していた。市場からの信認確保に向けて、政府は海外有識者との継続的な対話などを通じて日本の責任ある姿勢を発信していく見通しだ。

会議の資料によると、ブランシャール氏は、基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)は小幅の赤字だが、数年後には少なくとも均衡が必要になると指摘。その上で、信頼に足る中期のPBの経路を提示し、計画期間末には少なくとも政府債務残高対国内総生産(GDP)比の安定化を達成する必要があるとした。

また、公的投資だからといって、国債を財源とした実施が自動的に正当化される訳ではないとの見解も示した。

ケネス・ロゴフ氏

ロゴフ氏は、日本の長期金利は、今後10年間で3%に達する可能性もあるとの見通しを示した。日本は金利上昇に備えて、平時に債務残高対GDP比を緩やかに低下させていく余地を確保する必要があると指摘。そのためには、危機時を除きPB赤字をおおむね均衡に近い水準に保つことが求められるとした。

政府債務は金融システムに深く組み込まれており、金利が急上昇すれば、財政面だけでなく金融面にもリスクが及ぶと警鐘を鳴らした。消費税負担の軽減は一定の場合には妥当となり得るものの、金利が急上昇する局面では政策当局は機動的に対応する必要があるとしている。

一方、補正予算への依存度を低減させる高市政権の方針は、予見可能性を高め、官民双方の投資を支えることにつながると評価した。

ブランシャール氏とロゴフ氏は、国際通貨基金(IMF)でチーフエコノミストを務めた経験を持つ。

高市首相は会議の冒頭で、日本は技術革新力や労働の効率性などの面では他国と遜色がないにも関わらず、国内投資が圧倒的に不足して潜在成長率が低迷していると説明。戦略的な財政出動を進める中、政府債務残高対GDP比を安定的に引き下げることで「財政の持続可能性を実現し、市場の信認を確保していく方針」だと述べた。

諮問会議の民間議員らは昨年12月、「責任ある積極財政を含む日本の経済・財政運営を国際的な議論の中で位置付け、市場からの信認確保につながる国内外に分かりやすい一貫したメッセージを継続的に発信する」ことが必要と指摘した。

--取材協力:照喜納明美.

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