(ブルームバーグ):トランプ米政権は、原油相場が1バレル=200ドルに急騰した場合、想定される経済的影響を分析している。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。対イラン戦争の長期化の可能性も視野に、高官レベルで極端なシナリオの影響を検討していることを示す。
それによれば、一段の原油相場上昇が成長見通しにどの程度の打撃となるか、当局者は経済モデルを使って分析。緊張が高まる局面で通常行われる評価の一環で、予測ではないと関係者は説明した。こうした取り組みはあらゆる事態に備えることが目的という。
関係者の話では、ベッセント財務長官は戦争が始まる前から、紛争が原油相場を押し上げ、経済成長に悪影響を及ぼすことに懸念を示していた。財務省高官も過去数週間、原油やガソリンの価格変動についてホワイトハウスに懸念を伝えてきたという。
一方、ホワイトハウスのデサイ報道官はこうした説明を「誤り」と否定。「政権は常にさまざまな価格シナリオや経済への影響を評価しているが、原油相場が200ドルに達する可能性を検討しているわけではない」とし、対イラン戦争に伴う「短期的な混乱をベッセント長官も懸念してはいない」とコメントした。
同報道官はまた、ベッセント氏が「米経済と世界のエネルギー市場の長期的な軌道に対し、自身と政権の持続的な信頼を繰り返し表明してきた」と説明した。米国とイスラエルがイラン攻撃を開始して以降、北海ブレント原油先物や米ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)相場は大幅に上昇している。
ホワイトハウスによると、政権は軍事作戦が4-6週間続くことを想定していた。ライト・エネルギー長官は12日、原油相場が200ドルに急騰する可能性は「低い」と述べている。
原油相場が200ドルに達すれば、世界経済にとって多大な打撃となる。インフレ調整後で見ても、この水準に達したのは過去50年間で一度しかなく、2008年の世界金融危機直前に限られる。
これより低い相場水準でも影響は大きい。ブルームバーグ・エコノミクス(BE)は、原油が数カ月にわたり170ドルで推移した場合、米国と欧州でインフレ率を押し上げ、経済成長を鈍化させると予測している。
こうした中で、トランプ大統領はエネルギー価格の上昇を懸念していないとし、エネルギー純輸出国としてむしろ米国にとって有益だとの見方も示唆。また、戦争が終結すれば原油相場は大幅に下落するとしている。
しかし、世界の石油・天然ガス輸出の20%が通過する要衝ホルムズ海峡の事実上の封鎖で、世界中に経済的打撃が及んでいる。
欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は先週、中東での軍事衝突がインフレリスクを高めていると指摘した。日本銀行を含む他の中央銀行も、来月にも利上げに踏み切る構えを見せている。
米国では、ガソリン小売価格が30%上昇。トランプ氏が主要な経済成果として強調してきた過去1年間の価格下落を帳消しにする形となっている。
原題:Trump Team Examines What Oil as High as $200 a Barrel Would Mean(抜粋)
--取材協力:Josh Wingrove、Daniel Flatley.
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