(ブルームバーグ):トランプ米大統領がイランとの戦争終結に向けた協議を推進する一方、米国は中東地域に数千人規模の部隊を派遣している。かつてトランプ氏が大統領選で反対した、危険な地上部隊投入に踏み切る準備ではないかとの懸念が強まっている。
イランはトランプ氏の外交的働きかけを公然と拒否し、イランに譲歩を迫るため米軍が地上部隊を投入すれば大規模な報復に出ると警告している。これまでトランプ氏は歴代政権の終わりの見えない戦争を批判してきたが、事態がエスカレートすれば多くの犠牲者が出る恐れがある。
現役・元の軍当局者やアナリストは、米軍の選択肢として3つのシナリオを想定するが、いずれも容易ではない。想定されるのは、イランの主要原油輸出拠点であるカーグ島の占拠、イランの核物質を確保する作戦の支援、イラン側のホルムズ海峡支配を断つための同国沿岸への部隊展開だ。
ブルッキングス研究所の防衛戦略専門家マイケル・オハンロン氏は「現時点ではいずれも実現の確率が5分5分より低いとみられるが、それは変わり得る。いずれも非常にリスクが高い」と述べた。

ウクライナ担当特使を務めたキース・ケロッグ氏や共和党のグラム上院議員をはじめとするトランプ氏の一部の盟友は、イランに譲歩を迫るにはイラン領内への部隊展開が必要だと主張している。だがイラン側は、米国がその計画を進めればさらに強力な報復に出ると警告しており、民主党に加え、共和党内でも反対が広がっている。
懸念の一つは、過去の戦争と大きく異なり、無人機が飛び交う戦場で、米部隊が自衛に十分な装備を欠く可能性がある点だ。イランは大規模な報復とペルシャ湾全体への機雷敷設を表明している。これまでに死亡した米兵13人を大きく上回る犠牲者が出る恐れがある。
共和党のナンシー・メイス下院議員は「繰り返すが、私はイランへの地上部隊派遣を支持しない」とSNSに投稿。米政権は「イランを新たなイラクにするためわれわれを引きずり込もうとしている。許してはならない」と書き込んだ。
トランプ氏は自身の計画を発表していないが、事情に詳しい関係者によると、米国防総省はここ数日に海兵遠征部隊2個部隊の中東への派遣を命じた。約5000人規模の部隊に加え、航空機や水陸両用車両を含む編成だ。また別の関係者によると、トランプ氏は陸軍第82空挺(くうてい)師団から兵士1000人超を中東に派遣するよう命じた。
ロジャース下院軍事委員長は、イランに関する25日の非公開会合で、展開中の部隊について議員側の疑問に対して十分な説明がなかったと述べた。
記者団に対し「何が起きているのか、どのような選択肢があり、なぜ検討されているのかをもっと知りたい」とした上で、「それらの点について十分な説明が得られていない」と語った。
原題:US Troop Movements Fan Fears of a Risky Ground Attack on Iran(抜粋)
--取材協力:Samy Adghirni、Michelle Jamrisko、Roxana Tiron.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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