(ブルームバーグ):カナダ西部アルバータ州で長年くすぶっていた独立運動がここにきて勢いを増しており、10月に独立の是非を問う住民投票が実施される可能性が高まっている。
仮にアルバータ州がカナダから独立すれば、世界有数の原油埋蔵量を誇る人口約500万人の内陸国が誕生する。
アルバータ州の石油収入はカナダの他の州の財政を支えており、州内ではこの点に対する不満が根強い。トルドー前首相が新たな環境法を成立させたことで、連邦政府から疎外されているとの不信感がさらに高まった。
こうした不満が、10月の住民投票に独立問題を付議するための署名運動を後押ししている。住民投票の実施には5月までに17万7732人分の署名が必要となる。これは有権者の6%相当で、ハードルはかなり低いとされる。
もっとも、多くのアルバータ州民は分離を支持しておらず、現時点で独立が決まる公算は依然として小さい。世論調査会社レジェが最近実施した調査では、カナダからの独立を支持する回答は21%にとどまった。
だが、世論の風向きは変わりやすい。英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)を巡る国民投票でも、多くの世論調査で離脱は否決されるとの予測が示されていた。1年前の調査ではブレグジット支持は22%に過ぎなかった。
独立派が勝利すれば、カナダ全体に深刻な影響が及びそうだ。カーニー首相は、カナダを「51番目の州」と呼ぶトランプ米大統領の貿易戦争を乗り切るため、石油輸出を拡大することで米国依存のカナダ経済を支える戦略を描いている。
独立派、米政権と接触
独立運動を推進する主要団体アルバータ・プロスペリティー・プロジェクトは、トランプ米政権と会合を持ったと話している。同団体の弁護士ジェフリー・ラス氏はブルームバーグに対し、新たに独立する国家がカナダ政府からの財政的圧力に対抗できるよう、5000億ドル(約79兆6000億円)規模の「米国からの信用枠」の実現可能性について検討していると述べた。
独立支持派の中には、アルバータ州が米国に編入されることを歓迎する声もある。
ただ、米政権への接近は逆効果となる可能性が高い。調査会社アバカス・データによると、アルバータ州民の71%がトランプ氏を支持していない。
一方、署名運動開始後で最大規模となる独立支持派の集会が1月にカルガリーで開かれ、収容人数4000人の会場が満員となった。会場で流れた楽曲には「彼らは我々の資源を嫌い、税金を無駄にしている」「オタワのエリートにさようなら」といった歌詞が含まれていた。また「石油とガスが大好き」「掘って掘って掘りまくれ」といったスローガンを掲げたグッズも販売されていた。
不動産業者のタミー・ヘイニーさん(45)は「カナダは私たちに依存してきた。私たちは疲弊しきっており、もう限界だ。カナダの他の地域やウクライナなどに資金を提供したくない」と話す。また貿易相手として「米国が必要だ」というメッセージを示すために、子どもたちに米国旗をまとわせたなどと語った。


原題:Canada Risks Oilpatch ‘Brexit’ as Secession Bid Gains Traction(抜粋)
(第9段落目を追加して更新します)
--取材協力:Robert Tuttle、Josh Wingrove、Cedric Sam.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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