ゴールドマン・サックス・グループのバンカーらによれば、企業が戦略的な合併・買収(M&A)を進めるにあたり、市場を覆うボラティリティーが収まるのを待っている暇はない。

ゴールドマンの欧州・中東・アフリカ(EMEA)地域のM&A共同責任者ニメシュ・キロヤ氏は「完璧なタイミングを待てば、取引をまとめるのに苦労する可能性がある」と述べ、「戦略的な勢いとボラティリティー管理のバランスが必要だ」と続けた。

ゴールドマンは、2026年の純粋なM&A取引額を3兆8000億ドル(約605兆円)と予測する。年初からのテクノロジー株下落やプライベートクレジットの評価損、イランでの戦争に伴うエネルギー価格上昇といった逆風にもかかわらず、前年からの小幅増加を見込む。

キロヤ氏は、市場は新型コロナウイルス禍以降の不確実性に慣れており、取引は継続していくとの見方を示した。

2月下旬のイスラエルと米国によるイラン攻撃は、企業の見通しに不確実性をもたらし、戦争は新たなインフレ圧力となっている。これを受け、今年の米利下げ観測は見直され、ゴールドマンはエネルギー価格上昇を理由に利下げ予想を後ずれさせた。

「待つ理由はない」

グローバルM&A部門共同会長ティム・イングラシア氏は、利下げが遅れたとしても、買収計画の妨げになるべきではないと考える。イングラシア氏は「長期金利の安定性は金利水準そのものより重要だ」として「長期金利は低下しないと想定するなら、資金投入を待つ理由はない」と語った。

イランでの戦争が始まる以前から、SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)企業の存在を脅かす新たな人工知能(AI)ツールの登場をきっかけとしたテクノロジー株の売りを背景に、M&Aの勢いは鈍化していた。世界のソフトウエア株を追跡するMSCI指数は、今年に入り18%余り下落している。

この動きは、近年この分野に多額の投資を行ってきたプライベートエクイティやクレジット提供者の重荷となっており、とりわけバイアウトファンドが売却の難しいソフトウエア資産を抱え込むことへの懸念が強まっている。

もっとも、ブルームバーグがまとめたデータによると、今年は銀行を含むさまざまな分野で積極的な取引が発表されている。イタリアの金融大手ウニクレディトは今週、ドイツのコメルツ銀行の株式に対する公‌開買い付けを実施すると発表した。

ゴールドマン・サックスでEMEA地域の投資銀行部門共同責任者を務めるアンドレ・ケレナーズ氏は、金融サービスなどの分野で欧州の競争力を高める必要性が認識されていることが、今後も取引の流れを後押しし続けるとの見方を示した。

ケレナーズ氏は「この分野では、ここ数年で相当の取引が見られている」と語り、「欧州の資本市場や銀行市場の統合をめぐる規制関連で現在、活発に議論され、進展していると思う」と続けた。

原題:Goldman Tells Dealmakers Not to Wait for Perfection in M&A Chase

(抜粋)

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