16日の日本市場では円相場が対ドルで159円台半ばに小幅上昇している。原油価格の上げ幅縮小に伴いやや買い戻されている。株式は下落し、債券はもみ合っている。

円相場は一時159円75銭と前週末に続いて2024年7月以来の安値水準を付けた後、159円台前半まで持ち直した。アジア時間の16日で原油価格が上げを縮めた上、片山さつき財務相が過度の円安に対して必要な措置を講じる構えを改めて示した。原油高で景気の先行き不透明感が広がり、株式は下落、指数は1%超値下がりした。債券は方向感を欠く動きになっている。

日米欧の金融政策決定や日米首脳会談といった重要イベントを週内に控えてイランや原油情勢の不透明感が増しており、原油の見通しや当局の政策対応で市場が左右されやすい展開だ。

経済・金融市場の情報を提供するマーケットコンシェルジュの上野泰也代表は16日付リポートに、今週も原油価格の動向にらみで株式・債券・為替が不安定に上下動しそうだと記した。トランプ米大統領の発言は振れがかなり大きく、ホルムズ海峡の事実上封鎖についても報道が錯綜(さくそう)しているとした。

為替

円は対ドルで159円台前半から半ばで推移。中東情勢の混迷による原油価格の上昇を受けた円売りが優勢となり、一時159円75銭と前週末に続いて2024年7月以来の安値を付けた。その後は節目の160円を前に介入警戒感などからやや円がやや買い戻されている。

外為どっとコム総合研究所の中村勉為替アナリストは、円は対ドルで160円に近づくと口先介入の発言度合いが強まるとした上で、じりじりとした円安に向かっているとの見方を示した。その上で、「海外時間に入った方が当局の介入などの警戒感が薄れ、円安は進みやすい」と述べた。

東海東京インテリジェンス・ラボの柴田秀樹金利・為替シニアストラテジストは、原油価格はイラン攻撃前の水準から5割程度上昇し、日本の貿易収支の赤字が増えるため、円売り圧力が出てくると指摘。

その上でドル・円は「160円水準が警戒されているが、なかなか下がらない。投機的な円売りとは言えず、値動きも緩やかなので実弾の介入は難しく、24年に付けた高値161円95銭を抜けるのは時間の問題だろう」と述べた。

株式

株式相場は下げ幅を広げ、主要指数が1%超下落した。イラン戦争と原油価格の高止まりが長期化するとの懸念が重しになっている。

TOPIX構成銘柄の6割超が安く、電機や機械、自動車といった輸出関連や銀行、非鉄などへの売りが相場を押し下げている。原油価格が1バレル=100ドル前後で推移する中、企業業績が悪化するとの警戒感が強い。

フィリップ証券の笹木和弘リサーチ部長は、19日に予定される日米首脳会談までは投資家のリスク回避姿勢が続きそうだと予想。足元では輸出企業の追い風となる円安が進んでいるものの原油高を踏まえると「現時点で自動車セクターなどへの投資は難しい」と述べた。

インベスコ・アセット・マネジメントの木下智夫グローバル・マーケット・ストラテジストは、原油高の広範な影響を背景に物色がより選別されるようになると指摘。「従来から見たディフェンシブというだけではなく、その中でも原油価格の上昇による影響が限定的なセクター」が選別されやすいとし、国内のコミュニケーション・ITなどを挙げる。

主要指数は上昇に転じる場面もあった。東洋証券の大塚竜太ストラテジストは「市場は原油100ドル前後の水準には慣れてきている。今のところは先週末と比べてイラン情勢が大きく悪化する兆しはなく、いったん様子見の雰囲気もある」と話していた。

債券

債券相場はもみ合い。原油高の先高観測や17日の20年国債入札に向けた調整の売りが先行した後、円が対ドルで反転しておりやや買い戻しが優勢になっている。

アクサ・インベストメント・マネージャーズの木村龍太郎シニア債券ストラテジストは、債券相場が先物中心に買われていることについて「前週末に中東情勢のヘッドラインリスクに備えたポジション復元の動き」と指摘。さらに「現物債の手前のゾーンがしっかりしてイールドカーブがスティープ(傾斜)化しているのは中東情勢緊迫が長期化すれば景気に下押し要因になり利上げは難しくなることを織り込んでいる」と述べた。

野村証券の松沢中チーフ・ストラテジストは、イランと米国・イスラエルの開戦後は「日本売り」や、日本銀行のビハインド・ザ・カーブ懸念によって超長期債が相場の下げを主導してきたが、「もし純粋にグローバル景気不安を織り込みにいくのならば、超長期債にも買いが入っておかしくない」と指摘した。

この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。

--取材協力:横山桃花、深瀬敦子、アリス・フレンチ.

もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp

©2026 Bloomberg L.P.