国内の大手生保は2026年度もプライベートクレジット(ノンバンク融資)への投資を継続する方針だ。英ノンバンクの破綻や一部ファンドからの資金流出を受け警戒感は高まっているものの、リスク管理を徹底しながら慎重に投資し、比較的高い収益の確保を目指す。ブルームバーグの調査で分かった。

大手生保は株式や債券に代わるオルタナティブ(代替)資産としてプライベートクレジット投資を拡大している。市場に動揺が広がる中、日本生命保険、第一生命ホールディングス傘下の第一生命保険、明治安田生命保険、住友生命保険に、リスクに対する認識や新年度の運用方針などを聞いた。各社の運用担当者から10日までに広報担当者を通じて電子メールで回答を得た。

調査結果によると、日本生命と明治安田、第一生命は「運用・投資方針に変更はない」などと答えた。日本生命では一定以上の格付けやシニアローンへの厳選投資、高度な担保・財務制限条項の付帯などで適切にリスクを管理し、26年度はオルタナティブ資産の積み増しなどで「リスク・リターン効率の向上を図る」とした。

第一生命はプライベートクレジット市場に対して、戦略的な分散投資と委託運用先の厳選により、「選別しながら慎重に投資を行う予定」としている。住友生命は同市場に対する「見方に変更はない」とした。

英住宅金融マーケット・フィナンシャル・ソリューションズ(MFS)が2月に破綻。急拡大してきたプライベートクレジットのリスクが再認識されているが、生保4社は現時点で「個別事案」と受け止め、市場全体への影響は限定的とみている。ただ、今後の米国景気の先行き次第でリスクが顕在化する可能性もある。慎重なリスク管理と、より高い投資収益の確保の両立が課題となる。

プライベート市場に投資する米上場ファンドの動向を示すS&P BDC指数は、米自動車部品メーカーのファースト・ブランズ・グループ破産を受け、昨年10月初旬にかけて急落。今年に入り、米オルタナティブ運用会社ブルー・アウル・キャピタルによる個人投資家向けプライベートクレジットファンドの解約制限の発表やMFS破綻を受け、2020年11月以来の低水準を付けた。

MFSの問題について日本生命では、「個別企業の不正に起因する側面が強く、現時点ではマーケット全体へ波及するシステミックリスクは限定的」と分析。ただ、「伝統的な銀行規制の枠外にある同市場におけるデューデリジェンス(資産査定)の重要性を改めて浮き彫りにした」と指摘した。第一生命と明治安田、住友生命も個社の問題との認識を示した。

プライベートクレジット市場は1兆8000億ドル(約284兆円)規模に膨らんでおり、政府が資産運用立国を掲げる中、国内生保も投資・運用を強化している。流動性は低いが、比較的高いリターンが期待できるのが特長で、投資期間が長いため生保の運用特性との親和性も高いとされる。ただ、債権の信用リスク分析が難しいことなどから、投資には慎重さも求められる。

第一生命ではMFSなどの不正事案に関連して、「情報の非対称性や担保管理の脆弱(ぜいじゃく)性は構造的リスクとして引き続き注視が必要である」などと指摘。また、オルタナ投資では機関投資家にとって一般的な解約時のゲート条項(解約制限)が、まだ個人投資家からは十分な理解を得られていない点に留意する必要があると指摘した。

第一生命HDは6300億円投資

第一生命は、今後について、適切なリスク管理などを行った上で投資することにより、「引き続き、潜在的な市場規模の大きさや中長期的な市場成長の恩恵を享受することが可能と捉えている」という。

同社はグループ全体で25年9月末時点で運用資産総額約58兆8000億円の1.1%に当たる6300億円をプライベートクレジットに投資している。第一生命単体では24年度中に約500億円、25年度は12月末までに約400億円をそれぞれ積み増したとしている。

明治安田はプライベート資産について、「投資妙味の高い資産クラス」と位置付けている。プライベートクレジットは米ニューヨーク拠点活用や外部アドバイザーとの連携により厳格なデューデリジェンスを実施しているとし、相応の運用実績を持つ優良ファンドへの厳選投資を継続するなどと説明した。

同社はプライベートエクイティー(未公開株、PE)を含むプライベート資産への投資について、26年度までの3年間で6000億円程度を計画。24年度は2000億円を投資済みで、25年度も計画達成に向け投資を進めているという。ただ、イラン情勢などの地政学リスクに関するマーケットへの影響は注視していくとしている。

(最集段落に明治安田のコメントを追加して更新します)

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