トランプ米大統領は9日、対イラン戦争が「ごく短期に」終結するとの見通しを示した。石油関連の制裁を解除し、ホルムズ海峡を通過するタンカーに対して米海軍が護衛を行う計画を打ち出すとも述べた。

原油相場の大幅変動が続き、トランプ氏は経済的にも政治的にも高まる圧力に直面している。

トランプ氏は、紛争が今週中に終結するとは考えていないと述べる一方、作戦は予定より前倒しで進んでいると主張。エネルギー価格への懸念を強める投資家の不安払拭に努めた。また、制裁に関する約束と合わせ、イランが原油供給を妨害した場合には「はるかに強力な」爆撃を行うと語った。

フロリダ州ドーラルの自身のリゾートで開いた記者会見で、トランプ氏は「われわれは原油価格を低く抑えることを目指している」と述べ、「今回の短期的な遠征を受けて、人為的に上昇した」と指摘した。

トランプ氏は9日早くのロシアのプーチン大統領との電話会談で、この問題について協議したことを認めたものの、具体的な詳細は示さなかった。ロシアはウクライナでの戦争を巡り、石油収入に制裁を科されている。

トランプ氏の一連の発言は、ホワイトハウスが紛争の終結に向けて近く動く可能性を公に示す新たな意向を浮き彫りにした。

トランプ氏はこれより先、共和党議員に対し「イスラエルのパートナーとともに、われわれは圧倒的な技術力と軍事力を示しつつ敵を打ち砕いている」と説明。その後の記者会見では、米国がイランで5000の目標を攻撃したと主張し、同国のミサイル能力は10%まで低下し、同国からの無人機発射は83%減少したと述べた。

また、米軍の軍事目標は「かなり十分に達成された」と表現できるとの認識を示した。

一方でトランプ氏は、イランの指導部を巡って未解決の疑問が残っていることを認め、「敵が完全かつ決定的に打ち負かされるまで手を緩めることはない」と話した。米国がイランの艦船50隻超を撃沈したとする一方で、紛争が長期化した場合には発電施設を含む追加の「重要目標」を爆撃する可能性があるとした。

「われわれは多くの面で既に勝利しているが、十分に勝ったわけではない」とトランプ氏指摘。「この長年にわたる脅威を最終的に終わらせる究極の勝利を達成するため、これまでにも増して強い決意で前進する」と語った。

これらの発言は、トランプ氏が直面する今後の課題を浮き彫りにするものだ。全面的な勝利を約束してきた姿勢と、経済的・政治的帰結をどう両立させるかが問われる。

これに先立つCBSニュースとの電話インタビューで、トランプ氏は「戦争はほぼ完了していると思う」と発言。CBS記者がトランプ氏への電話インタビュー内容をXに投稿後、S&P500種株価指数は上昇に転じ、一時1%高となった。米国債利回りは低下した。一方、原油先物は下げに転じ、ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物は1バレル=90ドルを下回った。

原油価格は一時1バレル=119ドルを超えたが、主要7カ国(G7)が戦略石油備蓄の協調放出など必要な対策を講じる姿勢を示すと上げ幅を縮小し、トランプ氏の発言が伝わる前は95ドル付近で推移していた。ただ海上輸送の要衝であるホルムズ海峡は事実上の閉鎖状態が続いており、通過する船舶の安全確保について各国の最終的な計画はまとまっていない。

 

CBSとの電話インタビュー発言が報じられる前、トランプ氏は米紙ニューヨーク・ポストとのインタビューでは、「私にはあらゆる事態に対応する計画がある」と原油価格の上昇について言及し、「きっと満足してもらえるだろう」と述べていた。

11月の中間選挙を前に、同氏は根強いインフレを巡る国内の懸念に直面している。戦争が収まる気配を見せない中、ガソリン価格上昇への対処も迫られている。8日には100ドルの原油価格について「支払う代償としてはごく小さいものだ」とし、イランの核の脅威が排除されればコストは急速に下がるだろうとの見方を示していた。

ホルムズ海峡が事実上封鎖され貯蔵能力が限界に近づいているため、サウジアラビアは、石油生産の削減を開始した。事情に詳しい関係者が明らかにした。アラブ首長国連邦(UAE)、クウェート、イラクも既に同様の措置をとっており、世界最大の石油輸出国であるサウジにも影響が及んだ形になる。

あらゆる措置

G7財務相らは9日、世界のエネルギー供給を支えるために必要なあらゆる措置を講じる用意があると表明した。戦略石油備蓄の放出も選択肢に含まれるが、現時点ではそれを実施する段階に至っていないとしている。

G7は「エネルギー市場の状況と動向を引き続き注意深く監視し、情報交換およびG7内や国際的パートナーとの協調のため、必要に応じて会合を開く」との声明を発表。「備蓄放出などを通じた世界的なエネルギー供給の支援を含め、必要な措置を講じる用意がある」と説明した。

G7財務相は、中東での紛争、それが地域の安定や世界経済、金融市場に及ぼす影響について議論するため、オンライン会合を開いた。安全な貿易ルート確保の重要性についても協議した。

協議には、国際通貨基金(IMF)や世界銀行グループ、経済協力開発機構(OECD)、国際エネルギー機関(IEA)のトップも参加。G7議長国を務めるフランスは、備蓄放出を取りまとめる段階にはまだ至っていないと述べた。

石油備蓄の放出は通常、パリに本部を置くIEAの調整の下で実施される。ビロルIEA事務局長はこの日の会合後、ホルムズ海峡情勢が原油市場に「重大かつ増大する」リスクをもたらしていると述べた。ビロル氏は先週6日、石油供給は十分だと強調していた。

戦略備蓄の協調放出が過去に実施されたのはわずか5回で、そのうち2回は2022年のロシアによるウクライナ侵攻に対応したものだった。それ以前はリビアでの供給混乱とハリケーン「カトリーナ」への対応として、また第1次湾岸戦争の際に放出された。

片山さつき財務相は会合について、「石油備蓄の放出など世界のエネルギー供給を支える措置や、そのほか必要な対策を講じることで一致したのは非常に大きな成果」だとした。備蓄放出が実現すれば、日本では2022年4月以来となる。この時はIEAと連携し、日本は国家備蓄から5日分にあたる900万バレル、民間備蓄から7日分にあたる1350万バレルを放出した。

経済産業省のデータによると、昨年12月末時点で日本は国家備蓄(146日分)、民間備蓄(101日分)、産油国共同備蓄(7日分)で計254日分の石油備蓄を持つ。

原題:Trump Says War Will Resolve ‘Very Soon,’ Lifting Oil Sanctions(抜粋)

(トランプ大統領の新たな発言を追加して更新します)

--取材協力:John Bowker、Michael Cohen、Devika Krishna Kumar.

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