(ブルームバーグ):米国とイスラエルの攻撃で殺害されたイランの最高指導者、ハメネイ師の後継者として、息子のモジタバ師が選出された。中東での戦争は9日目に入り、イランは複数の国への攻撃を継続している。
ファルス通信が8日伝えたところによると、イランの聖職者で構成する「専門家会議」は「決定的な投票」により次期最高指導者を選出した。結果が公表される数時間前に投票は実施されたという。イランの革命防衛隊(IRGC)は新最高指導者への全面的な忠誠を誓うと表明した。
モジタバ師(56)はイランで3人目の最高指導者となり、1979年のイラン革命でパーレビ王政が打倒されて以来、世襲による初の継承となる。
湾岸諸国は、イランから飛来するミサイルやドローンへの対応を引き続き迫られている。イランは、数カ月にわたって戦争を継続する能力があると表明した。イスラエルはテヘランの燃料貯蔵施設を攻撃。イランの送電網を標的にする可能性も示唆した。これを受け、赤新月社は有毒な酸性雨が発生する恐れがあると警告した。
原油価格は取引開始時に1バレル=100ドルを突破。その後さらに上げ幅を拡大し、110ドルを上回った。アジア時間早朝の取引で米株価指数先物は下落し、ドルは上昇した。
域内の攻撃激化が見込まれる中、米国務省はサウジアラビアに駐在する米国人職員と外交官に出国を命じた。米紙ニューヨーク・タイムズが現職および元米当局者の話として報じた。これまでサウジの在外公館に勤務する非中核的な米政府職員とその家族には自主的な出国の選択肢が与えられていたが、今回は出国が義務付けられた。
トランプ米大統領は7日、これまで攻撃対象としてこなかったイラン国内の地域や集団についても、攻撃を検討すると表明。8日には、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」への投稿で「原油相場の短期的な動きは米国と世界の安全と平和のために支払う代償としてはごく小さいものだ」と指摘した。
事情に詳しい外交当局者3人によると、トランプ氏はイランの核兵器級に近い高濃縮ウランを確保するため、地上に特殊部隊を投入する選択肢を検討している。
アラブ首長国連邦(UAE)、クウェート、サウジ、バーレーンは週末にイランの攻撃を迎撃したと発表した。バーレーン政府は、イランのドローン攻撃で海水淡水化施設が物的損害を受けたと発表した。一方で水供給への影響はないとした。
イランのペゼシュキアン大統領は、同国を攻撃していない国に対しては攻撃を行わないよう軍に指示したとし、「イランから攻撃を受けた」近隣諸国に謝罪した。トランプ氏はこれを降伏に等しいと受け止めたが、イランは攻撃を継続した。
専門家会議はハメネイ師の息子を後継者に選出した後、イラン国民、とりわけ神学校や大学の学者や識者に対し、新指導者への忠誠を誓い、団結を維持するよう呼びかけた。
モジタバ師は1969年、イラン北東部の聖地マシュハドで一家の次男として生まれた。ブリタニカ百科事典によると、ハメネイ師の権力基盤を固めた1980-1988年のイラン・イラク戦争に短期間従軍。その後は聖職者となり、イランの主要な宗教都市コムで神学を学んだ。
公の場への露出は比較的少ないが、IRGCと近い関係にあるとみられている。IRGCはイランのミサイル開発計画や地域の民兵組織との連携を主導しており、イラン経済の最大40%を掌握するまでに拡大している。
2009年の大統領選を巡る不正介入疑惑から大規模な抗議が広がった際には、野党勢力がモジタバ師の関与を非難した。
ブルームバーグは1月、モジタバ師が首都テヘランからドバイ、フランクフルトに及ぶ広範な投資帝国を統括していると報じた。当時、モジタバ師にコメントを求めたが、回答は得られなかった。
原題:Iran Elevates Khamenei Son as Increased Strikes Shake Region (2)(抜粋)
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