米投資運用サービス大手ブラックロックは、顧客からの償還請求が急増したことを受け、同社の主力プライベートクレジット(ノンバンク融資)ファンドの一つで資金引き出しを制限した。これは1兆8000億ドル(約284兆円)規模のプライベートクレジット業界に対する投資家の不安を示す新たな兆候だ。

ブラックロックが運用する260億ドル規模の「HPSコーポレート・レンディング・ファンド」は、業界でも有数の非上場ビジネス開発会社(BDC)の一つ。6日の声明によると、株主が保有株の9.3% の買い戻しを求めたが、運用側は上限の5%までにとどめた。ブルームバーグの試算によれば、本来の対象株式の総額は約12億ドル相当だが、投資家が受け取れるのは昨年末時点で同ファンドが保有していた約6億2000万ドルにとどまる見通しだ。

昨年後半、大型破綻を受けて融資基準への懸念が高まり、投資家はプライベートクレジットへの警戒を強めていた。そうした中で、主要なプライベートクレジットファンドによるゲーティング(解約の制限)としては、最も明確な事例となった。これまで多くの運用会社は、増加する償還請求に応じるか、別の手段で投資家に返済する対応を取ってきた。

ブラックロックは声明で、今回の措置は主力の個人投資家向けダイレクトレンディング商品「HLEND」の流動性管理方針に沿ったものであり、投資の「基盤的」な特徴だと説明した。

その上で、「この仕組みがなければ、投資家が資金を引き出せる期間と、HLENDが投資しているプライベートクレジット融資の回収期間との間に、構造的なずれが生じる」としている。

HPSは先月、同種の企業では一般的な水準である最大5%の買い戻しを提示していた。前回の償還請求は約4.1%だった。

プライベートクレジット業界は、融資慣行を巡る不安や、人工知能(AI)によって打撃を受ける可能性のある企業へのエクスポージャーへの懸念が強まる中、相次ぐ償還請求に身構えている。HPSの幹部らは6日、償還を制限することで不確実性と変動性の中で「魅力的な投資機会」への投資を後押しするとの見方を示した。

別の「ブラックロック・プライベート・クレジット・ファンド」でも6日、投資家から保有株の4.5%の償還請求があったことを明らかにした。同ファンドは全請求に応じる方針だ。

原題:BlackRock $26 Billion Private Credit Fund Limits Withdrawals (1)

(抜粋)

--取材協力:Olivia Fishlow、Silas Brown.

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