(ブルームバーグ):クレジット投資家が、数百億ドル規模のロングポジションを急速に解消し、ヘッジ取引へと資金を移している。
ブルームバーグが集計したデータによると、投資適格級のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)指数における強気ポジションは、ここ数週間で約5分の1減少した。投資家の現金保有額やポートフォリオのボラティリティーなどを追跡するBNPパリバの指標では、現在投資家がリスクに対してショートポジションを取っていることが示された。
中東での戦争や、人工知能(AI)がもたらす破壊的影響への懸念から、資産運用会社はロングポジションの縮小を迫られている。このポジションは、過去1年にわたりクレジット市場の最も安全な部分を多くのリスクから守ってきた。市場がその日のニュース次第で急速な方向転換をせざるを得ない不安定な局面にある中での動きだ。
BNPパリバのクレジット戦略グローバル責任者ビクトル・ヨルト氏は「神経質さと不確実性が広がっており、人々は恐れている。多くの投資家はすでに売却し、リスクを投げ捨てている」と語った。

英銀バークレイズが米決済機関のデポジトリー・トラスト・アンド・クリアリング(DTCC)のデータを基にまとめたところによると、ソフトウエア分野への不安を背景に、CDS指数でみられる強気ポジションは、ここ数週間で縮小している。週次データにはイランでの戦争の影響はまだ反映されていないものの、CDS指数スプレッドは、取引量を増加させながら急拡大しており、ポジション調整が進行中であることを示唆している。
世界の投資適格級社債で構成されるブルームバーグ指数のリスクプレミアムは今週、昨年夏以来の高水準に接近した。戦争がインフレをあおるとの懸念から、クレジットスプレッドの拡大と国債利回りの急上昇という二重の打撃を市場が受ける中、トータルリターンは2024年後半以来で最大の週間下落となる見通しだ。

巻き戻しの可能性も
このポジション転換により、過去1年間は多くの投資家が「無駄なコスト」とみなしていたヘッジ取引が、再び注目を集めている。
フェデレーテッド・ハーメスのロンドン・クレジットデスク責任者ナチュー・チョカリンガム氏は「絶対的なスプレッド水準や多くの不確実性を踏まえると、指数を直接ショートするか、下振れリスクに備えてクレジットオプションを購入するなど、ヘッジの動きが確実に増えている」と明かした。
もっとも、中東での戦争が比較的短期で終結すれば、リスク回避の動きは逆張りのサインとなる可能性もある。
BNPのヨルト氏は「現在のようにポジショニングがショートに傾いている場合、売る必要のある人は、ほとんど売り終えていることを意味する」と述べ、「もしニュースが好転し始めれば、多くの人がショートの買い戻しを迫られ、再び買いに向かわざるを得なくなる」と語った。
それでも、戦争の期間や規模、帰結を巡る不確実性が大きく、AIによる混乱に対する疑問も解消されていない中、ファンドマネジャーは買いに戻るとしても慎重なポジションを取りそうだ。
ドイツ銀行で欧州・米国クレジット戦略を統括するスティーブ・カプリオ氏は、米欧のハイイールド債が長期にわたり月次のトータルリターンでプラスを維持してきたと指摘しつつ、「最近の地政学的ボラティリティーを考慮しなくても、スプレッドは楽観的過ぎる水準で織り込まれている」としている。また、同氏は「これほど例外的な勝ちの連続局面は、通常、大きな衝撃とともに終わる」とも述べた。
原題:Credit Traders Are Rapidly Unwinding a Gigantic Bullish Position(抜粋)
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