元日本銀行理事の前田栄治ちばぎん総合研究所社長は、中東情勢の緊迫化を受けた先行き不透明な現状を前提に、日銀による追加利上げの時期は4月と6月の可能性がそれぞれ50%との見方を示した。

前田氏は6日のインタビューで、中東情勢が世界・日本経済に与える影響は現段階で全く読めず、原油価格が上昇する中、日銀が重視する基調的な物価上昇率は上下双方向のリスクがあると指摘。追加利上げは基本的に4月か6月とし、可能性は「どうなるか分からないという現状で考えた場合、それぞれ五分五分ではないか」と語った。

内外経済が大きく悪化すれば、6月の利上げすら難しくなる可能性があるとしつつ、影響が短期間で収束する場合は、「4月に利上げをするべきだ」と主張した。利上げしない場合は、円安進行などを背景に、政策対応が遅れるビハインド・ザ・カーブのリスクを一段と高める可能性があるとの見方を示した。

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日銀は昨年12月の金融政策決定会合で、政策金利を30年ぶりの高水準となる0.75%程度に引き上げた。中東情勢の緊迫化を受けて内外経済の先行きに不透明感が広がる中、金利スワップ市場が見込む追加利上げの時期は、足元で4月までが6割超、6月までが9割弱となっており、前田氏の想定と近い。

経済・物価情勢が見通しに沿って順調に推移すれば、日銀が中立金利に向けて政策金利を徐々に調整していくスタンスに変化はないという。中立金利について日銀は1-2.5%の範囲内と推計しており、日銀が見込む2%の物価安定目標の実現時期を踏まえれば、来春には政策金利が1.5%程度に達しているイメージだと語った。

近年の企業の価格設定行動の変化を踏まえ、「戦争が起きているから、先々経済が不安だから、もう利上げはしばらくないと短絡的には考えない方がいい」とも指摘。仮に原油価格が1バレル=100ドルを超えていくような状況になれば、「インフレ期待にかなり火がつくだろう」との見解を示した。

イラン情勢を受けて原油相場は急騰。日本時間6日夕は北海ブレント原油が1バレル=85ドル台、ウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)は81ドル台で推移している。

高市政権

政府は2月25日、今年任期満了を迎える2人の日銀審議委員の後任候補にいずれも金融緩和と積極財政を志向するリフレ派の経済学者を指名し、金融緩和重視の高市早苗首相の姿勢が改めて意識されている。「責任ある積極財政」を掲げる高市政権と利上げ路線を堅持している日銀との金融政策を巡る足並みへの関心も高まっている。

前田氏は、高市政権について「利上げをするなとは考えていないと思う。結果責任をしっかり追求するということだろう」とみる。審議委員人事に関しても、政策委員会でさまざまな意見が出ることは、政策委員会の多様性の観点からも望ましいと語った。

その上で、政権が打ち出した危機管理投資と成長投資の重要性に理解を示しつつ、日銀が積極財政を支えるため低金利を維持すれば、「物価が上がって長期金利が大きく上昇してしまう」と指摘。日銀が政府の経済政策をサポートできるとすれば、「物価の安定を通じてということであり、その実現が最も重要だ」と訴えた。

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