原油価格は高騰し、マネーはリスクオフに

こうした中で、ペルシャ湾北部でアメリカのタンカーが攻撃を受けたと伝えられ、原油価格の代表的な指標であるWTIは、6日、一時1バレル92ドル台まで上昇し、2023年9月以来の水準になりました。今年初めの原油価格は50ドル台でしたから、相当な上昇ぶりです。

幸いなことに、今回の危機は、需給が緩和状態で、元々の原油価格が安い中で起きました。このため、世界が震え上がるような「1バレル100ドル超え」まで、まだ「のりしろ」がある状況です。

当事者のトランプ大統領さえ、今後の戦争の行方を見通せない中で、原油価格の今後を見通すことなど困難ですが、少なくとも、原油価格が下がるような「安心できる状態」に、そう簡単に戻ることなどない、と考えるのが自然でしょう。世界の金融市場では、不安心理が急速に広がっていて、アメリカ株の変動の大きさを示すVIX指数が25と、「最近のレンジの上限に張り付いている」(バルタリサーチ花生浩介氏)のは、その表れです。

金融市場では、株安だけでなく、金利先高観も強まっていて、リスクマネーの逃げ場がない環境に入ってきています。

高まるインフレ圧力とスタグフレーション

原油などのエネルギー価格の大きな上昇は、世界のどの国の経済にとっても重荷になります。とりわけインフレ懸念がくすぶり続けるアメリカにとっては、想定されていたFRB新議長就任後の利下げが、困難さを増すことになります。利下げを当て込んだ株価などに影響を与えるだけでなく、利下げが遠のくことで景気減速懸念が高まります。インフレと景気後退が同時に起これば、スタグフレーションという最悪のシナリオになります。