(ブルームバーグ):防衛技術を手掛ける米スタートアップ企業、アンドゥリル・インダストリーズの最高戦略責任者(CSO)、クリスチャン・ブローズ氏は、イランとの紛争により、敵対国からの安価なミサイルや無人機(ドローン)、誘導爆弾の持続的な波状攻撃に対する既存の高性能防空システムの限界が明確になったと述べた。
東京でのインタビューで「自国の領空を防衛する方法について、全く異なるやり方を考える必要がある。それについて、ようやく本格的に検討を始めたところだ」と語った。
米国はイスラエルと共に2月28日に開始した紛争で2000超の標的を攻撃したとしている。一方、イランは中東各地の米軍基地やエネルギーインフラ、民間建築物への空爆で応じた。米国の推計では、イランは紛争開始以来、2500発超の飛翔(ひしょう)体を発射しており、その大半はドローンとなっている。
米国製防空ミサイル「パトリオット」がイランの飛翔体の大部分を撃墜しているが、防空網を突破したものもあり、地域に深刻な被害をもたらしている。戦争が長期化すれば、米国と地域の同盟国にとっての課題は、1発当たり数百万ドルに上るパトリオット迎撃ミサイルの十分な在庫を確保できるかどうかになる。
ブローズ氏は、今回の戦争を受け、ロシアによるウクライナ侵攻を含む最近の紛争から得られた教訓、すなわち大量のミサイルやドローンを保有する敵対国に対抗するには多層的な防空体制の構築が重要だとの認識が改めて強まったと指摘。
「今後も依存し続ける極めて高性能かつ高価な兵器に加え、より低コストで迅速な生産が可能な別クラスの防空システムや迎撃ミサイルを構築しなければならない」とした。
アンドゥリルは、ドローンなど空の脅威に対抗するシステムを開発している。2024年には、米国防総省が同社に対し、再使用可能な垂直離着陸型ドローン迎撃機「ロードランナー」約500機を納入する2億5000万ドル(約390億円)の契約を締結した。
ブローズ氏は「既に手掛けている防空分野への取り組みに加え、技術がどのような解決策を提供できるのかを検討するための将来への投資にも莫大(ばくだい)な資金を投じている」と述べた。
アンドゥリルは昨年12月に日本でオフィスを開設し、将来的には製造拠点の構築も視野に入れている。同社はまずオーストラリアで地域展開を開始し、その後、韓国や台湾にも事業を拡大している。
ブローズ氏は、協議の進捗(しんちょく)や工場建設の具体化については詳細を明らかにしなかったが、日本での事業展開はオーストラリアの産業基盤に同社が深く食い込んだ手法をモデルにするとの認識を示した。
同氏は「米国で製造した軍事システムを売り込もうと突然現れ、それが全ての問題の解決策だとオーストラリア側を説得しようとしたわけではない」と強調。その代わりに、オーストラリア国内で特定のプログラムを構想し、開発する取り組みを進めたという。
「日本でもそのような形を実現できればと考えている。必要性はあると思うが、最終的には日本政府が望む形で協力していく」とブローズ氏は語った。
日本の防衛産業は、成長や利益の見通しが乏しいと企業が判断してきたことから低迷してきた。防衛装備品の輸出を巡る厳格な法制度により、政府が事実上唯一の顧客となり、利益率は低水準にとどまっている。
高市早苗首相は日本の防衛産業の強化を目指しており、防衛費を対国内総生産(GDP)比2%に引き上げるとの目標達成時期を2027年から今期に前倒しする方針を既に打ち出している。
ブローズ氏は、日本市場の見通しや、政府投資を軸とした防衛産業改革に強気の見方を示し、「この点で自らが市場を形成する存在であることを認識する必要がある。そして、インセンティブを創出し、購買力を活用して行動様式や成果を変えていく必要がある」と語った。
原題:Iran War Shows Limits of High-end Air Defense, Anduril Exec Says(抜粋)
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