(ブルームバーグ):米国とイスラエルのイラン攻撃で石油供給に対する懸念が高まる中、石油元売り会社が日本政府に対して石油の国家備蓄の放出を要請していることが分かった。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

関係者らによると、日本が産油国に貸与しているタンクに貯蔵されている原油の活用についても、政府と石油元売り会社で協議を行っている。産油国共同備蓄と呼ばれる仕組みで、緊急時にはタンク内の原油を日本企業が優先的に購入できることになっている。関係者の1人によると、国家備蓄も共同備蓄も放出が決まっても、入札などがあるため実際の供給までに時間がかかることから、企業側は国に早期に決定するよう求めている。
エネルギー政策を所管する経済産業省の担当者からコメントは得られていない。
赤沢亮正経産相は3日の記者会見で、石油備蓄の放出は、「価格抑制を目的とするものではなくて、石油の供給に不足が生じる事態において、石油の安定的な供給を確保するという目的で行うものだ」と述べた。「現時点で石油備蓄放出の具体的な予定はない」とした上で、国際エネルギー機関(IEA)とも連携しつつ原油供給の状況を注視してくとしていた。
世界全体の消費量の約20%に相当する原油が通過するホルムズ海峡がイランにより事実上封鎖され、中東の原油や天然ガスに依存する各国で混乱が広がっている。日本でも石油元売りの1社が国内供給を優先するためガソリン・航空燃料・軽油の3月分の輸出をキャンセルしたと報じられるなど影響が出始めており、封鎖が長期化すれば国内の供給に影響が出る恐れがある。
国家石油備蓄を巡っては、中東のフート原油売却の入札が今週、中止されていたことも明らかにしている。複数のトレーダーによると、入札は2月に発表されていたが、イラン戦争が起きた後に中止になったという。日本が輸入している原油構成に近づけるため、国家備蓄されている原油は随時入れ替えのため売却がされている。
経済産業省のデータによると、昨年12月末時点で日本は国家備蓄、民間備蓄、産油国共同備蓄で計254日分の石油備蓄を持つ。日本はサウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、クウェートと共同備蓄を行っており、平常時には産油国のアジア向けの供給拠点として活用される。経産省のデータによると、日本の消費量7日分が共同備蓄として貯蔵されている。
赤沢氏は今週、日本の原油輸入の約8割を占めるサウジアラビアとUAEの閣僚と相次いで会談。UAEの産業・先端技術大臣のアル・ジャーベル氏には中東の混乱で不安定な状況でも原油や液化天然ガスなどの安定供給を求めた。前日にはサウジアラビアのエネルギー相アブドルアジーズとオンラインで会談し、二国間のエネルギー協力について議論した。
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