(ブルームバーグ):中国は今年の経済成長率目標を4.5-5%の範囲に設定した。1991年以来最も控えめな成長目標となる。全国人民代表大会(全人代、国会に相当)が北京で5日開幕し、李強首相が発表した。
李氏は全人代冒頭の演説で、経済を変革するという「困難」な課題や「深刻」な不均衡を認める一方で、中国の長期的な成長余地に自信を示した。
「これらの目標を提示するにあたり、新たな5カ年計画期間の初年度において構造調整やリスク防止、改革の推進に一定の余地を確保する必要性を考慮した。今後数年間でより良い成果を実現するための確かな基盤を築くことが狙いだ」と表明した。
今後5年間の経済政策を描く「第15次5カ年計画」は、12日に閉幕する全人代の終盤に正式に採択される見通し。
2026年の成長率見通しは市場予想に沿った内容だが、当局が23年に目標を約5%へ引き下げて以来の下方向への調整だ。20年は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、目標が設定されなかった。
今回の成長率目標変更は、債務主導の不動産・インフラ投資に代わる、より持続可能な成長けん引役の確立を目指す中で、より緩やかな成長ペースを受け入れる姿勢を政府が示したものだ。
目標を引き下げることで、不安定な世界の貿易環境にもかかわらず、当局に積極的な景気刺激策を講じるよう迫る圧力も和らぐ。

その他の26年目標は以下の通り。
- 消費者物価指数(CPI)の上昇率目標を約2%に設定
- 財政赤字を国内総生産(GDP)比約4%とする計画
- 都市部で1200万人超の新規雇用創出を目指す
- 国防費を7%増額する計画
- 銀行向けに3000億元(約6兆8300億円)の特別国債を発行する
- 地方政府による新規の特別債発行を4兆4000億元とする
- 超長期特別国債1兆3000億元を計画
中国はまた、GDP成長率を26-30年に合理的な範囲に維持する方針を示した。
財政
今年の財政赤字目標(対GDP比約4%)は25年に記録した過去最高水準から横ばいとなる。政府が一般公共予算で見込む歳入を5兆8900億元上回る支出を計画していることを意味する。一般公共予算は中国の4つの予算の中で最大で、税収を原資に教育や社会保障、交通、環境保護など幅広い分野の歳出を賄う。
銀行の利ざや縮小や信用需要の低迷により金融緩和の余地が限られる中、財政政策が景気刺激の主役となっている。財政赤字のGDP比を過去最高の水準に据え置くことは、政府が成長確保に向けて財政の蛇口を開き続ける意思を示すものだ。
公式の財政赤字に加え、政府は超長期国債の発行で1兆3000億元を調達する計画だ。通常は国家の重要インフラや安全保障プロジェクト、さらには消費者や企業の支出を促す補助金プログラムの財源に充てられる。また、国有銀行の資本増強を支援するため、特別国債3000億元も発行する。
地方政府には、新規の特別債発行枠として計4兆4000億元が割り当てられた。これはインフラ投資や不動産開発業者からの売れ残り住宅の買い取り、簿外債務の削減に充てる主要な資金源となる。
債券発行枠の総額は6兆元で、前年予算の6兆2000億元からは減少した。
中国は20年以降、公式の財政赤字をGDP比3%超に設定したのは今回で5回目となる。昨年10月に米国と関税措置を巡る対立を棚上げし、貿易摩擦は緩和したものの、中国政府は今年の成長目標達成に向けた脅威に引き続き直面している。
消費者や企業の信頼感は依然として弱く、デフレ圧力や長年にわたる不動産不況を背景に投資が縮小。昨年の輸出は予想外の底堅さを示したが、中東で拡大する軍事衝突は新たな貿易混乱を引き起こし、サプライチェーンの安定を損なうリスクがある。
国防費
中国は今年、国防費を7%増やす方針だ。22年以来の鈍い伸びとなる。財政省が5日公表した報告書によると、中央政府の軍事支出は1兆9100億元に増加する見込み。中国は23年以降、毎年約7.2%ずつ国防費を引き上げてきた。
李氏によれば、中国は「軍事訓練と戦闘即応態勢で着実な進展を遂げ、先進的な戦闘能力の発展を加速させる」という。

不動産
全人代に提出された政府活動報告によると、中央政府は各都市の政策を活用し、不動産の「新規供給を抑制するとともに在庫を削減する」予定。ただ、長期にわたる低迷を反転させるために一部のエコノミストが必要と見なす大がかりな対策の発表には踏み込まなかった。
今回示された方針は、不動産不況を終わらせるとするこれまでの主張を大筋で踏襲。一方で、景気が減速しつつある局面でも、大規模な景気刺激策を講じることに慎重であることも示された。ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)によれば、不動産は今年も中国GDPの約17%を占める見通し。
原題:China Sets Lowest Growth Target Since 1991 as Old Model Falters、China Boosts Defense Spending by 7%, Slowest Pace Since 2022 (2)、China Sets 2026 GDP Growth Target at 4.5%-5% (2)、China Vows to Tackle Property Crunch With City-Specific Policies(抜粋)
--取材協力:Fran Wang.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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