トランプ米大統領は4日、対イラン攻撃について「戦況は非常に順調だ」として自信を示した。だが、今回の軍事作戦の期間については依然として不透明なままだ。

トランプ氏はその上で、「イランは47年間にわたり、米国民や世界中の人々を殺害してきた。われわれは大きな支持を得ていると思う」と述べた。

イラン攻撃開始の理由や目標について、トランプ氏の発言は揺れ動いている。この日は、イランが差し迫った脅威をもたらしているとの主張を改めて展開し、「先に動かなければ、イランがイスラエル、可能であれば米国にも攻撃を加えていただろう」と語った。

これに先立ち、ホワイトハウスのレビット報道官は会見で、イラン政権が「完全に打ちのめされた」と述べていた。

また米国がこれまでにイラン艦船20隻余りを撃沈するとともに、イラン当局者49人を排除し、2000カ所超を攻撃したと説明。その上で「イラン領空の完全かつ全面的な制空権」確保に向けて前進していると述べ、一連の作戦は「著しい成功」との認識を示した。

トランプ氏は「イランのミサイルや発射装置は急速に壊滅しつつある」と指摘。「イランは近隣諸国を攻撃しており、場合によっては同盟国、あるいは最近まで同盟関係にあった国々ですら標的にしている。実に制御不能な国家だ」と述べた。

収束の兆し見えず  

米国・イスラエルとイランとの軍事衝突は5日に入るが、収束の兆しは見られない。イランはイスラエルや湾岸諸国を標的とした一方、イスラエルと米国はイラン国内で追加の標的を爆撃した。

また米国は、スリランカ沖でイランの軍艦を魚雷で撃沈した。米潜水艦が水上艦を攻撃したのは第2次世界大戦以来初めて。同艦には180人が乗船していた。スリランカ当局によると、乗組員約32人が救助された一方、100人超が行方不明か、死亡したとみられている。

ヘグセス米国防長官は会見で「イランの能力は時間ごとに消滅しつつある」と発言。「米国の戦力は一段と強力かつ洗練され、圧倒的な優位性を占めている。今日もさらに多くの爆撃機や戦闘機が到着している」と語った。

軍事作戦のタイムラインはなお流動的だ。ヘグセス長官は記者団に対し、「6週間かもしれないし、8週間かもしれないし、3週間かもしれない」と述べた。

米当局者による発言の揺れは時に混乱を招いている。レビット氏は「ここ数時間で得た理解」として、スペインが「米軍に協力することで合意した」と指摘。しかし、スペイン当局者はその後、自国領内の基地から米国が攻撃を行うことは認めないとする従来の立場を転換した事実はないとして否定した。

一方、イランは核濃縮計画の放棄、弾道ミサイル開発の断念、過激派組織への支援中止といった要求に応じる気配を全く見せていない。イスラエルと米国は数百のイラン製ミサイルや発射装置を破壊したと主張しているが、イランは戦いを継続。近隣諸国やイスラエルを攻撃し、混乱をもたらし続けている。

イスラエルのダニー・ダノン国連大使は軍ラジオで、イランが依然として「相当な能力」を有していると述べ、「この戦争の道のりはまだ長い」と続けた。

水面下で接触か

ニューヨーク・タイムズ(NYT)は、イラン情報省の工作員が第三国の情報機関を通じて米中央情報局(CIA)に接触し、戦争終結の条件を協議することを提案してきたと報じた。

だが、イラン側は同報道を「全くの虚偽だ」と否定。今回の攻撃で殺害された最高指導者ハメネイ師の顧問は、国営テレビで「われわれは米国を全く信用しておらず、交渉する意図もない」と述べた。

原油相場はNYTの報道とその後のイラン側の否定を受けて乱高下した。

一方、ホルムズ海峡では航行中のコンテナ船が被弾して乗組員が退避した。負傷者は報告されていない。

トランプ氏が前日述べていた海軍による護衛や保険の提供について、レビット氏は会見で詳細をほとんど明らかにしなかった。

周辺国への影響拡大

これまでにイラン国内で1000人超が死亡し、イラン以外の中東諸国でも数十人が犠牲となっている。

今回の紛争には約10カ国が巻き込まれている。イランは中東各地の米軍基地や大使館を攻撃。イスラエルはレバノンで親イラン派のイスラム教シーア派組織ヒズボラに対して空爆と地上攻勢を開始した。中国、インド、日本、南アフリカなど多くの国が緊張緩和を呼びかけている。

イランの攻撃の中心はアラブ首長国連邦(UAE)やサウジアラビア、バーレーン、カタールなど湾岸アラブ諸国となっており、合わせると、イスラエルよりもはるかに多くのドローンやミサイルによる攻撃を受けている。

4日にはトルコも攻撃を受けた。今回の紛争で北大西洋条約機構(NATO)加盟国が攻撃を受けたのは初めて。NATOの防空システムがイランからトルコ領空に向かっていた弾道ミサイルを撃墜した。トルコは戦火をさらに拡大させかねない行為を控えるようイランに警告した。

ハメネイ師の後継者は

イランの政府系メヘル通信は、ハメネイ師の後継者選定プロセスがほぼ完了に近づいており、選択肢が特定されたと報じた。

一方、タスニム通信は、イランの首都テヘランで4日にハメネイ師の葬儀の準備が進められていたが、葬儀開催は延期されたと伝えた。

レビット氏は会見で、イラン指導部の将来は依然として極めて不透明だとするトランプ大統領の慎重な見方を改めて強調。情報機関が後継体制を「注意深く監視している」と述べた。

原題:US Says It Will Strike Iran Harder, Tehran Denies Peace Entreaty、US Says Iran ‘Absolutely Crushed’ as Expanding War Shakes Region、Trump Says US Doing ‘Very Well’ as Middle East War Shakes Region(抜粋)

(トランプ大統領の発言などを加えて全体を更新します)

--取材協力:Dan Williams、Tom Hall、Yasufumi Saito.

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