(ブルームバーグ):米国際貿易裁判所の判事は4日、トランプ大統領が国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づき講じた世界的な関税措置を連邦最高裁が違法と判断したのを受け、関税計算に当たってIEEPA関税分の算入停止を政権側に命じた。関税還付手続き簡素化に向けた動きとなる。
ニューヨーク市にある国際貿易裁判所のイートン判事は4日の命令で、米税関・国境警備局(CBP)に対し、トランプ氏の緊急関税措置を巡り、輸入業者の通関書類上の算入を停止するよう指示した。最高裁が同関税を違法と判断した後も、政府が算入を続けている理由についても疑問を呈した。

イートン判事はさらに、通関手続きのこうした工程を既に通過した一部の関税について、トランプ氏の係争中の関税を除外した上で再計算するよう当局に命じた。
同判事はまた、これまでに国際貿易裁判所に提起された数千件に上る還付請求訴訟の全てを自身が担当することになったと確認した。
イートン判事は審理で「法律は明確だ」と述べた上で、還付手続きは「かなり円滑に」進めることができるとの考えを示した。
最高裁は2月20日、トランプ氏が日本を含む世界各国・地域を対象に包括的な関税を導入するためにIEEPAを用いたのは違法との判断を6対3で下した。その後、輸入業者がいつ、どのように還付を受けることができるのか、疑問が浮上している。
司法省報道官は、係争中であることを理由にコメントを控えた。ホワイトハウスはこれまでのところコメント要請に応じていない。
最高裁で勝訴した原告側企業の一つ、ラーニング・リソーシズの主任弁護士プラティク・シャー氏は「今回の命令は、最高裁判断後に明らかであるべきだったことを確認するものだ。IEEPA関税を支払った全ての者には還付を受ける権利がある」と語った。
イートン判事はマンハッタンの法廷で開かれた4日の審理で、米政府が控訴している間、自身の命令を停止するよう求めた司法省のクラウディア・バーク弁護士の要請を退けた。判事は同件について6日午前にあらためて審理を開くとし、還付手続きがどのように進む可能性があるのか一層詳細に説明するよう司法省に求めた。
関税書類の処理
今回の審理と命令は、テネシー州ナッシュビルに本拠を置くメーカー、アトマス・フィルトレーションが約1100万ドル(約17億2800万円)のIEEPA関税の還付を求めて提起した訴訟を契機とする。この訴訟は、最高裁判断後の関税関連書類の扱いについてアトマス側が重要な論点を提起したことで、重要性を増した。
アトマスの代理人、トーマス・ウォールリッチ弁護士は、命令についてコメントを控えた。
イートン判事は還付手続きについて、「混乱を招くものであってはならない」とし、「IEEPA関税は1セント残らず還付されなければならない」と語った。また、米政府が日常的に実施している既存の関税還付手続きを通じて処理できない理由についても疑問を呈した。
司法省のバーク弁護士は、最高裁の命令の影響を受ける各政府機関が今後の対応について最終的な立場をまだ示していないため、還付には時間を要すると説明。これに対しイートン判事は、問題は既に決着しているとして、政権側にそれほどの時間は必要ないとの見解を示した。こうした応酬は係争が長期化する可能性を示唆するものだ。
還付手続き
焦点となっているのは、CBPによる「関税清算(liquidation)」と呼ばれる手続きだ。これは、数カ月前に見積もりに基づいて支払われた輸入業者の関税や諸税について、正式な計算と確定を行う工程を指す。
バーク弁護士は判事の質問に対し、CBPがIEEPA関税を含めた形で輸入申告書類の関税清算を引き続き行っていることを認めた。判事の命令により、今後の関税清算はIEEPA関税を含めない形でのみ完了でき、既に完了した多くの関税清算は取り消しが必要となる。
国際貿易裁判所では2000件超の還付訴訟が係属中で、そのほぼ全てが最高裁が昨年11月に口頭弁論を開いた後に提起された。
米政府は4日これに先立ち、最終的に還付が義務付けられた場合には利息も支払うと確認する内容の書面をイートン判事に提出した。
原題:Judge Orders US to Stop Calculating Importers’ IEEPA Tariffs (1)(抜粋)
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