3日に実施された10年国債入札は大きな波乱なく通過したが、債券相場は軟調な地合いが続いている。入札後に金利は一段と上昇し、市場がインフレ懸念を十分に織り込みきれていない状況を浮き彫りにした。

中東情勢が緊迫化する中、世界的に債券売りが強まっている。エネルギー供給の混乱によりインフレが加速するシナリオが警戒され、2日には米国や欧州などの国債価格が下落し、利回りが上昇した。

国内でも、米国とイスラエルによるイラン攻撃を受けたリスク回避の買いで、前日の新発10年国債利回りは2.06%と今年の最低付近に低下したが、原油高によるインフレ懸念が広がった3日は一転上昇。午前に2.1%台に乗せ、入札の結果判明後には前日比7ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)高い2.13%を付けた。

財務省が実施した10年国債入札は、投資家需要の強弱を反映する応札倍率が3.3倍と過去12カ月平均(3.23倍)を小幅に上回った。前回は3.02倍だった。最低落札価格は99円76銭と市場予想(99円77銭)並みで、大きいと入札不調を示すテール(落札価格の最低と平均の差)は6銭(前回5銭)だった。

明治安田アセットマネジメント債券運用部の大﨑秀一シニア・ポートフォリオ・マネジャーは、10年債入札は落札価格が事前予想付近で、応札倍率は前回から上昇と無難な結果だったと指摘。「原油高や円安で買いづらさはあったが、株価が大幅に下げているリスクオフ環境や入札前の金利上昇で需要があった」と述べた。インフレ懸念が相場の重しとなる一方で、金利上昇が結果的に入札を支えた格好だ。

もっとも、中東紛争による景気悪化やインフレ上振れへの対応で財政拡大策が打ち出される可能性やそれに伴う国債増発への懸念がくすぶる相場全体の流れは変わっていない。市場の関心は5日に予定される30年債入札に向かい、相対的に流動性の低い超長期ゾーンのため、投資家の不安心理の強さを測る試金石となる。

大﨑氏は「原油高が続くようなら超長期債には買いにくさが出てくる」と指摘。景気後退と物価上昇が同時に進む「スタグフレーションのリスクも意識され、政府の政策による国債増発懸念から利回り曲線がスティープ(傾斜)化が進むリスクがある」と述べた。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤原和也債券ストラテジストは、地政学リスクが非常に強いことに加え、トランプ米大統領がイラン攻撃が長期化する可能性に言及しており、「原油の供給減とインフレ懸念から金利上昇圧力がかかりやすい」と話した。

--取材協力:日高正裕.

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