(ブルームバーグ):米国の大型テクノロジー株が持ち直し、S&P500種株価指数を過去最高値へ押し上げている。イランとの戦争に伴うリスクは残るものの、足元の相場上昇は続く余地があるとの見方が投資家の間で広がっている。
S&P500種が3月30日に今年の安値を付けて以降、テクノロジー株は指数内で最悪のセクターから一転し、最も好調な分野となった。大型ハイテク7銘柄で構成する「マグニフィセント・セブン」の指数は同期間に20%上昇し、昨年10月のピークからの17%下落を取り戻した。中でもマイクロソフト株がこの回復を最も象徴しており、10月28日の高値から3月27日の安値まで34%下落した後、19%値上がりした。
ウェルズ・ファーゴの株式ストラテジスト、オースン・クウォン氏は「過去6カ月で分かったのは、テクノロジー株なしではS&P500種は本格上昇できないということだ」と指摘する。
S&P500種の最近の上昇の半分超は、わずか7社によるものだ。エヌビディアとアマゾン・ドット・コム、マイクロソフト、ブロードコム、アルファベット、メタ・プラットフォームズ、アップルの7社で、ブルームバーグがまとめたデータによると、これら企業の時価総額は数週間で合計約4兆ドル拡大した。
セリグマン・インベストメンツ(運用資産約300億ドル=約4兆7600億円)のポール・ウィック最高投資責任者(CIO)は、「驚くほど急速な持ち直しだ」とした上で、「ある程度は出遅れを取り戻す動きであり、ポジション調整の側面もある」と話した。

実際、こうした動きをファンダメンタルズで説明するのは難しい。この短期間で企業の状況に大きな変化はない。地政学的な見通しは依然として不透明だ。中東情勢の緊張はくすぶり続け、世界成長を脅かしている。原油価格は最近下げたものの高止まりしており、インフレ圧力も根強い。それでも、S&P500種やハイテク株中心のナスダック100指数は過去最高値を更新して先週末を終えた。
「テクノロジー株、とりわけハイパースケーラーが上昇していなかったため、S&P500種は7000付近で足踏みしていた」とウェルズ・ファーゴのクウォン氏は分析。ハイパースケーラーとは、人工知能(AI)向けのコンピューティング基盤を提供するビッグテック企業を指す。「これらが今後もアウトパフォームを続けるなら、S&P500種にとって純粋なプラス要因になる」と語った。
テクノロジー銘柄は、AIへの期待と力強い利益成長を背景に、過去3年にわたる強気相場の大半でS&P500種をけん引してきた。しかし昨年終盤以降、異例の低迷期を迎えていた。AI技術を支えるために急増する設備投資への懸念がウォール街で広がり、巨額投資からの大きなリターンがいつ顕在化するのか疑問視する声が強まった。
こうした懸念は依然として残っている。ゴールドマン・サックス・グループのプライムブローカレッジ部門がまとめたデータによると、わずか2週間前にはヘッジファンドが約5年ぶりの速いペースで米テクノロジー株を売却した。テクノロジーのほぼ全てのサブセクターで資金純流出が見られ、特にソフトウエアが売り越しの約60%を占め、その大半は空売りによるものだった。
もっとも、この売りによってテクノロジー株のバリュエーションは数カ月前に比べて大幅に魅力的な水準となっている。テスラを除けば、マグニフィセント・セブンの予想利益ベースの株価収益率(PER)は約24倍と、10月末時点の29倍から低下。現在のS&P500種のおよそ21倍と比べても大きな差はない。
原題:Big Tech’s $4 Trillion Boomerang Powers S&P 500 to New Heights(抜粋)
--取材協力:Natalia Kniazhevich.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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