(ブルームバーグ):中国指導部は今週、世界のコモディティー市場の動向を左右する重要な5カ年計画をスタートさせる。
中国は世界最大の原材料輸入国。政府が年間の国内総生産(GDP)目標や景気刺激策、クリーンエネルギーや人工知能(AI)といった重点分野の支援策を示せば、消費拡大の方向性は比較的読み取りやすい。
一方、供給サイドは複雑だ。中国政府は一部セクターで強靱(きょうじん)性を高める一方、過当競争の緩和も目指す。同時に、2030年までの排出量ピーク達成を掲げるグリーンエネルギーへのシフトに沿う形で産業再編も進めている。
重要鉱物
トランプ米政権の関税措置に対抗する上で、中国は昨年、重要鉱物を強力な地政学的武器として利用した。西側諸国が資源開発を急ぐ中でも、中国はその優位性を維持したい考えだ。
政府はハイテク産業が成長に必要な資材を確保できるよう主導的役割を担ってきた。
春節(旧正月)のテレビ特番では、踊るロボットが披露され、視聴者の驚きを呼んだ。これは、国家主導で調整されたサプライチェーンから生み出される強力なレアアース(希土類)磁石があって初めて実現したテクノロジーだ。

こうした事業モデルの改善が、政策当局の焦点となる可能性が高い。国内サプライチェーンを一段と強くするには、輸出規制の強化や生産者の一段の統合が含まれ得る。
米国も大規模な備蓄拡充に着手する中で、戦略鉱物備蓄の役割拡大に関する議論が出れば、価格に大きな影響を与える材料となりそうだ。
電力の統合
再生可能エネルギーの急拡大により、中国は炭素排出を増やさずに増大する電力需要を満たしている。ただ、再生可能エネルギーは出力の不安定さが送電網に負担をかけている。風力・太陽光ブームを持続させるための方策に注目が集まる。
政府は、遠隔地のクリーンエネルギー拠点と需要地を結ぶ長距離送電線の新たな建設目標や、蓄電池の目標を設定する可能性がある。蓄電容量は27年までに180ギガワットとする目標をすでに上回る勢いだ。
政府が主要技術と位置付け、産業部門における再生可能燃料の最低利用目標案を示唆したグリーン水素も後押しを受けそうだ。計画中の多数の施設の需要下支えにつながり得る。
また、最近発表された全国電力市場の建設加速計画の詳細にも注目が集まる。あらゆる電源の電力価格や取引の仕組みを再構築するもので、再生可能エネルギー比率の高い送電網のニーズに市場を適合させる可能性があるとブルームバーグNEFはみている。
炭素強度
GDP当たりの炭素排出量は、中国の気候目標を測る重要指標だ。21-25年を対象とする前回の5カ年計画では、炭素強度(CI)を18%削減する目標を達成できず、異例の未達となった。十分な電力確保のため石炭利用を拡大せざるを得なかったことが背景だ。
その結果、今回の計画にはより重い責任が課される。エネルギー・クリーンエア研究センター(CREA)は、中国が15年に採択されたパリ協定の約束を果たすにはCIを23%削減する必要があると試算する。
しかし、再生可能エネルギーのブームがこの分野での中国の基盤を強固なものにした。CREAによると、総排出量は昨年、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)以降で初めて減少した。

CI目標は今年から、総排出量を評価する補助目標で補完される。従来の評価では、排出量が経済成長を上回らない限り、総排出量が急増しても成果を強調できる余地があった。
過剰生産
産業の過剰生産、つまり中国で言われているところの「内巻」に対処する長年の取り組みは、昨年7月に始まった反内巻キャンペーンで加速した。
ただ、現時点での成果は評価が分かれる。太陽光メーカーの損失は拡大し、製鉄会社が実際に減産したかどうかには疑問が残り、石油精製業者は過去最大の処理量を記録している。

政府はこれまでのところ、生産能力や生産量に関する厳格な数値目標の設定をおおむね避け、政策シグナルの発信や規制の調整、自主的な抑制措置に依存してきた。効果が表れるには時間を要する。
HSBCホールディングスによれば、供給を重視する政府の姿勢は的を絞った需要刺激策で補完する必要がある。経済に占める消費のウエート引き上げという広範な目標とも整合的だ。
食料
10億人余りを養うことは常に中国の最優先課題だ。政策当局が掲げる主要指標の一つが、年間穀物収穫量目標で、25年は7億トンに引き上げられた。通常は十分達成可能だが、幅広い農産品の価格水準が低く、農家は生き残りに必死だ。
一部の貿易相手国との通商関係が修復に向かう中、米国産大豆やカナダ産菜種、さらにはドイツ産豚肉などと国産品との競争が一段と強まる可能性が高い。
輸入の緩和は農業部門のデフレ圧力を強める公算が大きい。食料の安全保障を損なわずに農村所得を支援し、供給を管理し、価格を下支えする追加対策が必要となりそうだ。
原題:China’s Five-Year Plan to Target Fixes to Commodities Supply(抜粋)
--取材協力:Megan Durisin Albery、Hallie Gu.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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