イスラエルが2日に新たな空爆を実施し、中東全域に波紋が広がる中、米国はイランとの紛争がどの程度続くのかについて相反するメッセージを発した。拡大する軍事衝突はエネルギー市場を揺さぶっている。

ヘグセス国防長官は2日、イランとの「終わりのない戦争」という考えを否定した。一方、トランプ大統領はその後、決まったタイムラインはないと強調した。米地上部隊の投入については両氏とも排除しなかった。

トランプ氏は「要する時間はいとわない。必要ならいくらでもやる」とし、「当初から4-5週間と見込んでいたが、それよりもはるかに長い期間、継続する能力がわれわれにはある」と語った。

米軍は「継続的な作戦において、イスラム革命防衛隊の指揮統制施設、イランの防空能力、ミサイルおよびドローンの発射場、軍用飛行場」を破壊したと、米中央軍がXへの投稿で明らかにした。

イスラエル国防軍(IDF)は2日、イランの首都テヘランで新たな「攻撃の波」を実施したと発表した。標的はイラン内務省の治安部門と情報省の各司令センターで、「暴力的手段で体制に対する抗議を抑圧している」と非難した。

米国とイスラエルの攻撃で最高指導者ハメネイ師が殺害されたことを受け、イランは中東各地への攻撃を続けている。イスラエル、サウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦(UAE)で爆発音が聞かれた。

トランプ大統領、今回がイラン攻撃の最後で最善の機会だったと発言

イランのアラグチ外相は2日夜、国営テレビで演説し、近隣諸国と争う意図はないが、「そこに駐留する米兵と対峙(たいじ)している」と述べた。

米国務省は紛争に伴う危険を理由に「重大な安全上のリスク」があるとして、中東各国からの米国人退避を促した。イスラエル、サウジ、カタール、UAEなど十数カ国にいる米市民に対し、「利用可能な民間輸送手段」で出国するよう勧告した。

サウジ国防省によると、首都リヤドにある米国大使館が2機のドローンによる攻撃を受け、「小規模な火災が発生し、建物に軽微な物的損害が生じた」という。

米国はまた、クウェートで戦闘機3機が撃墜されたが、乗組員は安全に脱出したと明らかにした。友軍による誤射とみられるという。イスラエルはこれに先立ち、レバノン南部での親イラン民兵組織ヒズボラからの攻撃を受け、ベイルートまで攻撃を拡大していた。

事情に詳しい関係者によると、UAEとカタールは、イランに対する米国の軍事作戦を短期間にとどめるよう、トランプ氏を説得する働きかけを水面下で同盟国に行っているという。

原油の国際指標である北海ブレントは清算値で約7%上昇し、1バレル=77.74ドルとなった。イスラム革命防衛隊(IRGC)司令官の顧問が国営メディアに対し、イラン軍は同地域から石油を流出させないと述べたことを受け、時間外取引でも78ドル超で推移した。

ルビオ国務長官はワシントンで記者団に対し、エネルギー価格上昇を緩和するための措置を近く打ち出す見通しだと述べた。また、米軍がイランに対する軍事攻撃を一段と強化すると明かした。

一方、上院民主党トップのシューマー院内総務は、今回の衝突を「必要に迫られた戦争ではなく、選択された戦争だ」と批判し、米国民は「ガソリン価格を押し上げる」戦争を望んでいないと語った。

米中央軍は、東部時間2日午後4時までに兵士6人が戦死したと発表した。米国が今回の紛争で初の米兵死亡を公表した後、死傷者について「これが終わるまでに恐らくさらに出るだろう。それが現実だ」とコメントした。

テヘランで爆発後に立ち上る煙(3月2日)

米誌アトランティックによると、トランプ氏は1日、イランの将官らに対し、権力を国民に委ねるよう求め、新たな指導部と協議する用意があると述べた。イラン最高安全保障委員会(SNSC)のラリジャニ事務局長は、オマーンの仲介を通じて米当局者に接触したとの報道に反応し、イランは米国と交渉しないと述べた。

米国が当初の攻撃を正当化する理由は一様ではなく、体制転換、イランによる核開発の脅威、国内の抗議弾圧などが挙げられている。

ルビオ氏は2日、今回の作戦はイランの弾道ミサイル開発計画と海軍を破壊し、世界の海運に対する脅威を防ぐことが目的だと説明した。一方、イスラエルのネタニヤフ首相はSNSへの投稿で「勇敢なイラン国民が暴政のくびきを脱する条件を整える」ことも目的の一部だと述べた。

米情報当局は、イラン攻撃後に想定される複数のシナリオに関する分析を政権に提示しており、今後の展開の不確実性を浮き彫りにしている。

トランプ氏はイラン国民に対し「このチャンスを捉え、自分の国を取り戻す」よう呼びかけているが、イランの治安部隊は国内を厳しく統制している。米国とイスラエルによる政府・軍事目標への攻撃があっても、政治的敵対勢力が権力掌握を試みるのは容易ではない可能性が高い。

 

トランプ氏は1日付の米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)紙のインタビューで、イランの将軍らに対し、国民に権力を委ねるか、マドゥロ氏拘束後に米国の要求に従っている新たな指導者の下にあるベネズエラのようなモデルを受け入れるかを迫った。

イラン側は空爆によるハメネイ師死亡を受け、新たな最高指導者の選出を急いでいる。イラン外務省のバガエイ報道官は新たな指導者が「数日以内」に選出されることを「望んでいる」と述べた。

原題:Trump Vows ‘Whatever It Takes’ on Iran as Conflict Widens (4)(抜粋)

(4段落目に米中央軍のX投稿を追加します。更新前の記事で本文中の日付を訂正済みです)

--取材協力:Michael Cohen、Stuart Livingstone-Wallace、Onur Ant、John Bowker、Natalia Drozdiak、Devika Krishna Kumar.

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