(ブルームバーグ):日本銀行の氷見野良三副総裁は2日、足元の中東情勢の緊迫化を受けても日銀の金融政策運営の方針に変化が生じるとはみていないとの見解を示した。和歌山市内で講演後の記者会見で語った。
氷見野氏は米国とイスラエルによるイラン攻撃後の中東情勢が経済・物価に与える影響について、現時点で予想を申し上げるのは控えるとしつつ、金融政策の「方針自体に変化があるとは考えていない」と言明。政府とも密接に情報交換を行いながら、「状況をしっかり注視してまいりたい」と述べた。
日銀は経済・物価が見通しに沿って推移すれば、引き続き利上げによって緩和調整を行っていく方針を示している。氷見野氏は、中東情勢を受けて経済・物価に「影響はありうる」としながらも、今後も物価の基調を基に金融政策を判断していく考えを強調した。利上げ時期を示唆する発言はなかった。
足元の金利スワップ市場が織り込む日銀の利上げ確率は、4月の金融政策決定会合までが約62%、6月までは約88%となっている。
物価の基調について氷見野氏は、2%目標に達しているとはまだ断言できないとし、現在の緩和的な領域での金融政策運営を適切と評価した。足元の消費者物価の鈍化傾向が基調に影響を与えるとは予想していないとしつつ、「一定の影響がある可能性はあり、よく見ていきたい」と語った。
物価の基調
午前の講演では、物価の基調が「着実に上昇してきていることは確か」と述べ、「達観すれば、既におおむね2%近辺である」との見方を示した。その上で、目標との差となる「インフレギャップ」は若干のマイナスとし、「政策金利の緩やかな引き上げを通じて、だんだん中立に近づけていく」と語った。
日銀は2024年にマイナス金利の解除など17年ぶりに利上げに踏み切って以降、これまでに4回、政策金利を引き上げている。現在の0.75%程度は30年ぶりの高水準で、利上げによる経済・物価・金融面への影響を丹念に点検していく方針を示している。
氷見野氏は利上げの影響について、これまでのところ限定的とし、「金融環境は依然緩和的な領域にある」との認識を示した。自然利子率と実質金利の関係だけでなく、実質金利の変化が金融環境に与える影響を評価することで、「地に足の着いた政策判断が可能になる」とも指摘した。
高市政権
政府は2月25日、今年任期満了を迎える2人の日銀審議委員の後任候補にいずれも金融緩和と積極財政を志向するリフレ派の経済学者を指名した。金融緩和重視の姿勢が改めて鮮明になった高市早苗政権と利上げに前向きな発信が続く日銀との金融政策を巡る足並みへの関心も高まっている。
氷見野氏は会見で、 高市政権とのコミュニケーションについて「情勢認識についても、政策運営の考え方についてもさまざまなレベルで充実した意思疎通、情報交換ができている」と説明。審議委員人事に関しては、コメントを控えた。
(発言の詳細を追加して更新しました)
--取材協力:氏兼敬子.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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