米国は、イランとの戦争で米国側に初の戦死者が出たと明らかにした。戦争は中東の複数の国に拡大しており、エネルギー市場を揺るがしかねない事態となっている。

米中央軍は1日、イランに対する作戦中に米兵3人が死亡、5人が「重傷」を負ったと発表した。

トランプ大統領はこれに先立ち、SNSへの投稿で、イランの最高指導者ハメネイ師が殺害されたと述べた。イランは数時間後にこれを確認。ハメネイ師はオフィス施設内で殺害されたとし、40日間の国家服喪の期間に入ると発表した。

トランプ氏は、「激しく精密な爆撃は、必要とあらば今週いっぱい、あるいはそれ以上、途切れることなく続ける」と述べた。

戦火は1日、地域全体へと拡大した。前日に米国とイスラエルがイランへの攻撃を開始し、イラン側は迅速かつ広範に反撃した。イランのミサイルはテルアビブの建物を直撃し、サウジアラビアやカタール、バーレーン、クウェートでは防空システムが飛来するミサイルを迎撃した。

世界で最も利用者の多い航空ハブであるドバイ国際空港も攻撃を受け、湾岸地域では民間航空便のほぼ全てが運航停止となった。高級リゾートの人工島パームジュメイラやホテル「ブルジュ・アル・アラブ」などドバイの主要施設が損傷し、アブダビの高層ビルにも被害が出た。

イスラエルとアラブ首長国連邦(UAE)は、イランからの波状攻撃により死者が出たと発表。イラン国営テレビは2月28日、同国への攻撃で200人超が死亡したと報じた。

イスラエル軍当局者によると、同国の攻撃でイランの弾道ミサイル数百発が破壊され、発射装置の約半数が無力化されたと推定している。

紛争は世界のエネルギー市場にも波及している。原油価格は今年に入り、主に米・イラン間の緊張を背景に20%近く上昇している。石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟産油国で構成する「OPECプラス」は1日、4月の原油生産をやや大きく増やすことで原則合意した。

イランのタスニム通信は、ペルシャ湾と外洋を結ぶホルムズ海峡について事実上閉鎖状態にあると伝えた。タンカーが同海峡の通航を回避する動きが広がっている。オマーン沖では船舶2隻が攻撃を受けたとの報告もある。

ハメネイ師の殺害は、30年以上にわたりイランを支配してきた指導者の死を意味し、中東における同国の影響力を抑え込もうとする米国とイスラエルの作戦を新たな段階へと引き上げた。イランのペゼシュキアン大統領は、ハメネイ師殺害への「復讐と報復」を誓い、それは「正当な権利」だと主張した。他の当局者も1日、軍事的対応を強化すると表明した。

ハメネイ師は公に後継者を指名しておらず、最高指導者の選出を担う「専門家会議」が新たな指導者を任命する必要がある。それまでは大統領と司法府のトップ、護憲評議会の法学者1人で構成する評議会が職務を代行する。同評議会は1日に会合を開くと、国家安全保障担当トップのアリ・ラリジャニ氏が明らかにした。

原題:US Suffers First War Fatalities as Iran’s Counterstrikes Widen(抜粋)

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--取材協力:Dana Khraiche、Leen Al-Rashdan、Alisa Odenheimer、Eltaf Najafizada.

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