(ブルームバーグ):米国防総省は27日、人工知能(AI)開発大手アンソロピックをサプライチェーン上のリスクに指定した。トランプ米大統領がアンソロピックの製品を使用しないよう米政府機関に指示したことを受けたもので、AIの軍事利用を巡る同社と国防総省の対立が最終局面を迎えた。
ヘグセス米国防長官はX(旧ツイッター)への投稿で、国防総省の請負業者およびその提携先に対し、アンソロピックとのあらゆる商業活動を禁止するよう命じた。同社がAIサービスを他の事業者に引き継ぐまでの猶予期間を6カ月に設定した。
ヘグセス氏は、「米国の戦闘員がビッグテックのイデオロギー的な気まぐれの人質になることは決してない」とした上で、「この決定は最終的なものだ」と書き込んだ。
今回の指定は、トランプ氏が連邦政府機関に対しアンソロピックの利用停止を命じた直後に行われた。同氏は、詳細には言及せずに、引き継ぎ作業に協力しなければ「重大な民事・刑事責任」を問われる可能性があると警告していた。
トランプ氏は「アンソロピックの正気を失った左翼連中は、『戦争省』を力ずくで憲法ではなく自社規約に従わせようとした。壊滅的な誤りだ」とソーシャルメディアに投稿。「したがって、私はすべての米連邦機関に対し、アンソロピックの技術使用を直ちに一切停止するよう指示する」と表明していた。
アンソロピックの広報担当者にコメントを求めたが、現時点で返答は得られていない。
今回の決定は、数千億ドルを投じてAI技術に投資してきたAI企業や、連邦政府案件の獲得を模索する各社に衝撃を与える見通しだ。アンソロピックが国防総省向けに合意していた最大2億ドル(約310億円)規模の業務や、国務省を含む文民機関との契約が打ち切られることになる。
ヘグセス氏は27日午後5時1分(日本時間28日午前7時1分)を期限に、国防総省がアンソロピックのチャットボット「Claude(クロード)」を、法の範囲内であれば同社の利用制限を伴わずにいかなる目的にも使用できるよう認めるよう同社に求めていた。アンソロピックは、Claudeを米国民の大規模監視や、完全自律型兵器の運用に使用しないよう主張してきた。
創業以来、アンソロピックはAIによる壊滅的な悪影響を回避することを理念の一つに掲げ、AIの責任ある利用を重視する企業と自社を位置付けてきた。こうした姿勢により同社のダリオ・アモデイ最高経営責任者(CEO)は、国防総省から「ウォーク(社会正義に目覚めた)」的な慣行を排除すると誓うヘグセス氏と激しく対立する事態となった。
アンソロピックが政府から排除されれば、安全保障上の課題が生じる可能性がある。アンソロピックは最近まで、国防総省の機密クラウド上で稼働できる唯一のAIシステムだった。国防総省の職員の間では、「Claude Gov」が使いやすさから好まれる選択肢となっている。
原題:Anthropic Designated Supply Chain Risk, Loses US Work in AI Feud(抜粋)
(国防長官のコメントや背景を追加して更新します)
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