(ブルームバーグ):金融各社が人工知能(AI)脅威論に振り回され、かつてジェイミー・ダイモン氏が警告した「ゴキブリ」の影にも神経をとがらせた2月。その最終営業日の株式市場で、プライベートクレジット(未公開企業向け融資)に関する悪材料が、投資家の売りを誘った。
27日の市場でKBW銀行株指数は4.9%下落。昨年12月上旬以来の水準に押し下げられ、「解放の日」関税発表以来の大幅安で終えた。構成23銘柄すべてが1.9%以上の値下がり。特にウェスタン・アライアンス・バンコープとゴールドマン・サックス・グループ、ザイオンズ・バンコープが大きく売りを浴びた。
今月は融資会社や決済プロバイダー、資産運用会社に対する風当たりが強まっている。とりわけ新たなAIアプリケーションとプライベートクレジットを巡る不安は、株価に深刻なダメージを与えている。フィンテック企業ブロック(旧社名スクエア)は前日、全従業員の約半数に当たる4000人を削減すると発表した。
信用スプレッドも拡大し始めたところに、ウォール街が支援する英住宅ローン会社が破綻したことで、不透明なプライベートクレジットの世界で増加するデフォルト(債務不履行)に、銀行が対応を余儀なくされる可能性に不安が広がった。
株式市場で最近顕在化したAI主導の株価変動に対し、安全な逃避先として投資適格級の社債市場が浮上していた。それが今ではひずみを見せ始めている。ブルームバーグの指数によれば、同年限の国債に対するプレミアムは、世界的に425ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)近く拡大し、昨年11月以来の大幅な動きとなった。
ウェルズ・ファーゴのアナリスト、マイク・メイヨ氏は「『ゴキブリ』はもっといるはずだと、銀行は警戒している」とリポートで指摘。「クレジットの新たな問題は、信用サイクルが消滅したわけではないことを改めて示唆している。銀行融資の伸び率はこの10年、国内総生産(GDP)増加率を大きく下回っている。つまり、より大きなリスクは規制の届かないシャドーバンクにあることを示唆している」と記した。

ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のシニアアナリストのハーマン・チャン氏は「AIの導入と波乱がどのようなペースで進行するのか分からないまま、銀行は一段と変動の激しい局面に入ろうとしている」と指摘。「信用スプレッドが拡大する中で米国債相場が上昇していることは、リスク回避の姿勢を示している」と解説した。
売りはクレジットカード会社や決済プロバイダーの株式にも及び、シンクロニー・ファイナンシャルやアメリカン・エキスプレス、キャピタル・ワン・ファイナンシャルは大幅下落。いずれも6%以上の値下がりとなった。オルタナティブ投資会社の株価も急落し、アポロ・グローバル・マネジメントやKKR、アレス・マネジメントの下げは5%を超えた。
「今朝の市場では、クレジットにわずかでも反応しそうなものなら、無差別に売られた」とトゥルイストのブライアン・フィネラン氏は顧客リポートで指摘した。
懸念すべき兆候は信用市場でも鮮明になってきた。JPモルガン・チェースのダイモン最高経営責任者(CEO)は昨年10月、自動車ローン会社や自動車部品メーカーの相次ぐ破綻が一過性のものに終わらない可能性が高いとして、クレジット市場に警鐘を鳴らした。
金融不正疑惑のなか、英住宅金融会社マーケット・フィナンシャル・ソリューションズ(MFS)は破綻したが、一部債権者は融資担保に9億3000万ポンド(約2000億円)の不足がある可能性を指摘した。ブラックロックでもプライベート債券ファンドが減配を嫌気されて価格が下落し、他のビジネス・デベロップメント・カンパニー(BDC)の株価を押し下げた。
「ロンドンのMFS破綻がクレジット市場で悪材料となり、アポロ・グループやジェフリーズなどで問題が表面化しているのは、投資家が事態の影響が広がる可能性を心配し始めている兆候だ」とミラータバクのチーフ市場ストラテジスト、マット・メイリー氏は指摘する。「波及しないとしても、クレジット市場で大きくなっている問題は依然として、金融企業の損失につながるというリスクは残る」と述べた。
原題:Bank Shares Walloped by More AI and ‘Cockroach’ Credit Woes (2)(抜粋)
(株価を終値に更新し、関連情報や専門家のコメントを追加します)
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