全国の先行指標となる2月の東京都区部消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年比上昇率が日本銀行の目標の2%を下回った。政府の電気・ガス代補助金再開が主因。市場予想は上回り日銀の利上げ路線の支えとなりそうだ。

総務省の27日の発表によると、コアCPIは前年比1.8%上昇した。市場予想は1.7%上昇だった。伸び率の縮小は3カ月連続。エネルギー価格が9.2%低下と2年1カ月ぶりの大きな下落となり、最大の押し下げ要因となった。生鮮食品を除く食料は5.5%上昇と前月の5.6%上昇からプラス幅が縮小した。伸び縮小は6カ月連続。

東京都内の百貨店

生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPIは2.5%上昇と前月から伸びが拡大し、12カ月連続で2%台を維持した。市場予想は2.3%上昇だった。総合指数は1.6%上昇と伸びが拡大した。2%割れは2カ月連続。市場予想は1.4%上昇だった。

日銀は1月に公表した経済・物価情勢の展望(展望リポート)で、今年前半にはコアCPIが2%を下回るとの見通しを示しており、今回の結果は想定内と言える。日銀審議委員の候補者にリフレ派を指名するなど高市早苗政権が金融緩和重視の姿勢を強める中で、政府の物価に関する見解が注目される。

第一生命経済研究所の新家義貴シニアエグゼクティブエコノミストは、2月の全国コアCPIも2%を下回るのがほぼ確実だが、日銀の想定通りで利上げ路線は維持されるとみる。ただ、「政府が同一の見解をしているかどうかは別問題。インフレが減速する中で日銀の利上げに向けたコミュニケーションはより難しくなる」とも述べた。

CPI統計が市場予想を上回ったことを受け、東京外国為替市場の円相場は対ドルで上昇し、一時155円67銭を付けた。

日銀が重視している賃金動向を反映しやすいサービス価格は1.5%上昇となり、前月の1.4%上昇からプラス幅が拡大した。外国パック旅行の伸び率拡大などが要因。高水準の賃上げが続く中で、賃金上昇を販売価格に転嫁する動きの広がりが注目されている。

 

政府は25日、日銀政策委員会の審議委員候補に中央大学名誉教授の浅田統一郎氏と青山学院大学教授の佐藤綾野氏を充てる国会同意人事案を衆参両院に提示した。両氏とも金融緩和と積極財政を重視するリフレ派とされる。

日銀政策委員の中で利上げに最も積極的なタカ派の高田創審議委員は26日の講演で、金融政策は幅広いデータや情報から緩和度合いを丁寧に確認しながら、「段階的にギアシフトを行っていく途上にある」と述べ、追加利上げの必要性を改めて強調した。高田氏は1月の金融政策決定会合で1.0%への利上げを提案した。

足元の金融スワップ市場が織り込む日銀の利上げ確率は、4月の金融政策決定会合までが約68%、6月までは約96%となっている。

総務省の説明:

  • 政府の電気・ガス代補助金のコアCPIへの押し下げ寄与は、昨年に実施された政策効果のはく落分を含めて電気代で0.17ポイント、都市ガス代で0.08ポイント。ガソリン暫定税率廃止を含めたエネルギー全体では0.28ポイントの押し下げ寄与
  • 生鮮食品を除く食料は米類などを中心に伸びが鈍化
  • 家庭用耐久財と外国パック旅行費が押し上げに寄与。家庭用耐久財はルームエアコンの新製品の販売が要因。外国パック旅行は円安なども影響した可能性
  • 民営家賃は2.2%上昇で1994年2月以来の高い上昇率。持ち家の帰属家賃の1.4%上昇は94年11月以来の高い伸び

(エコノミストコメントや総務省の説明などを追加して更新しました)

--取材協力:藤岡徹.

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