映画「マネー・ショート 華麗なる大逆転」で一躍有名となった投資家、ダニー・モーゼス氏は、プライベートクレジットやプライベートエクイティ(PE、未公開株)各社が個人向け商品に軸足を移している動きについて、2008年のサブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン危機が起きる前の状況を想起させると述べた。

近年、プライベート資本の運用会社は、個人投資家の取り込みを一段と強化してきた。しかし、こうした直接融資を手がけるファンドには最近、融資審査の甘さへの懸念を背景に、投資家からの解約請求が急増している。解約が相次げば、流動性の乏しい資産を抱えるファンドが資産売却を迫られ、市場に負荷がかかるとの懸念が広がっている。

マイケル・ルイス氏のベストセラー「世紀の空売り」(原題 ザ・ビッグ・ショート)を映画化した「マネー・ショート」は、08年の米国での住宅バブル崩壊の予測を的中させた投資家らを描いた。その登場人物の一人として知られるモーゼス氏は、フロリダ州マイアミビーチで開かれた会議「アイコネクションズ・グローバル・オルツ」で24日に発言した。

モーゼス氏は「金融危機の際に私が一貫して考えていたのは、どの段階で誰にインセンティブがあり、誰が何を誰に、なぜ売っていたのかという点だ」と語った。その上で現状について「当時と似たところはあるが、(08年に起きた)ビッグ・ショートそのものではない」と述べた。

当時は脆弱(ぜいじゃく)な借り手に販売されたサブプライム住宅ローンだったと、モーゼス氏は振り返る。現在は、流動性があると約束しながら実際には流動性に乏しい資産を裏付けとする商品を通じて、プライベートクレジットを個人向けに押し出している構図だという。

加えて、公開市場の変動拡大や企業の合併・買収(M&A)の停滞によって投資回収が滞り、多くのプライベート資本ファンドの投資家はここ数年、分配金を受け取れていない。こうした行き詰まりはベンチャーキャピタルから始まり、PEに広がり、いまやプライベートクレジットの貸し手にも波及していると会議でのパネリストたちは指摘した。

同じく「世紀の空売り」に登場したビンセント・ダニエル氏は「分配金がほとんど出なくなりつつあるため、今後はゲーティング(解約の制限)が一段と増える可能性が高い」とも述べた。

原題:Big Short’s Moses Says Private Credit Retail Push Echoes 2008(抜粋)

--取材協力:Alexandra Semenova.

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