シトリニ・リサーチの33歳の創業者ジェームズ・ヴァン・ギーレン氏は、同社のリポートが23日の株価急落を引き起こすとは予想だにしなかった。

ギーレン氏は22日、人工知能(AI)の未来に関するディストピア(暗黒郷)的シナリオを自社のサブスタック(プラットフォーム)で公表した。「2028年グローバル・インテリジェンス危機」と題するシナリオでは、ホワイトカラーの大規模解雇がデフレの連鎖を招く結果、失業率は10%を上回り、株価が値崩れする景気下降の想定が描かれた。

23日の午前までには、7000語を超える投稿が市場の話題となり、取引開始と同時に売りが始まった。S&P500種株価指数はすぐに下落に転じ、1%余り下げて取引を終えた。金融株の指標は昨年4月以降で最悪の取引となった。主要なソフトウエア上場投資信託(ETF)は4%余り急落した。

シトリニのリポートは、サービスナウやドアダッシュ、アメリカン・エキスプレスなど複数の企業の具体名に言及し、株価の下げを誘った。それらの銘柄をシトリニは空売りしていない。

ソフトウエアや保険ブローカー、ウェルスマネジメント(富裕層向け資産運用)、サイバーセキュリティー業界を標的とするAI関連の売りが数週間続き、投資家は既に神経質になっていた。23日はシトリニのリポートに加え、AIスタートアップ、アンソロピックの新たなツールが引き起こしかねない劇的変化への不安が重なった。

失業の影響緩和に向け、累進課税やAI企業の利益への課税を政府は検討すべきだとシトリニ・リポートの共同執筆者は主張

その日が終わるまでの間、ギーレン氏の電話は鳴りやまなかった。大勢の潜在的顧客がリサーチやフィードバックの提供を求めてきた。

顧客と会うため、フロリダ州マイアミに滞在していたギーレン氏は「これで株価が動くと思えば、無料で公開しなかっただろう」と語った。

「市場は明らかにこの問題に過敏になっている。AIが二次的に既存企業に及ぼす劇的な変化を不安視していた投資家にとって、今回の論説はフォーカスポイントの役割を果たした。われわれの論説が最悪のシナリオを示すと、不安が最高潮に達した」と同氏は指摘した。

ウォール街がギーレン氏に初めて注目したのは、2023年3月のシリコンバレー銀行(SVB)破綻後のことだ。22年後半の段階でSVB株の空売りについて投稿し、その数カ月後に同行は経営破綻した。

 

原題:Citrini Founder Shocked His AI Prediction Spurred Stocks Selloff(抜粋)

もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp

©2026 Bloomberg L.P.